ブログ

BLOG

2024/03/31

認知行動療法って?治療の具体例をご紹介

なんでもない些細なことで深く落ち込んでしまったり、物事をなにかとネガティブに考えてしまったりすることでストレスを感じていないでしょうか?このようなマイナスに捉える性質はご自身の性格によるものではなく、「認知行動療法」によって改善できる可能性があります。

今回は「認知行動療法」とはどのような治療なのか、その具体例をご紹介します。具体的にどのような治療法があるのか、どのような方法で治療を進めていくのか、さらにどういった効果が期待できるのかを知り、気軽な気持ちでカウンセリングルームまで足を運んでみてください。

認知行動療法とは?


「認知行動療法」は、日常生活のなかで感じるストレスや心理的抑圧の影響を受けてゆがんでしまった「認知」に働きかけて、思考のズレを修正し、心の負担を軽くすることを目指す治療法です。

「認知」とは、物事の捉え方や受け止め方のことです。認知には人それぞれの癖があるため、同じ物事に対しても人によってまったく異なる捉え方が生まれます。

認知の癖はその人の個性ともいえますが、これが正しいという形もありません。しかし、認知がゆがんでいる状態だと、あらゆる物事を極端にネガティブに捉えてしまったり、些細なことが過剰に気になったりして心の負担が大きくなってしまいます。認知行動療法によって認知のゆがみを修正することで、落ち込みやすい、考えすぎてしまうといったマイナスな性質を変えることができるのです。

認知のゆがみにつながる「自動思考」のズレ


認知が呼び出す瞬間的に思い浮かぶイメージのことを、「自動思考」と呼びます。たとえば、街中で犬を見かけたときに「かわいい」あるいは「怖い」と感じるような、無意識のうちに浮かんでくる思考のことです。

自動思考と現実にズレがあると、目の前にある物事(事実)から飛躍しすぎた思考が浮かんできてしまいます。犬を見て瞬間的に「怖い」と感じること自体は悪いことではありませんが、「吠えてきたらどうしよう」、「噛みついてくるのでは」というところまで思考を巡らせると、犬がいるという事実だけで大きなストレスを感じてしまうでしょう。

このような自動思考と現実のズレが、認知のゆがみにもつながっているのです。自分の自動思考と現実のズレに気づいて修正することで認知のゆがみも解消されていき、ストレスや恐怖・不安を感じやすい状態を克服することができます。

認知行動療法の具体例


認知行動療法は、もともとは異なる分野として考えられていた「認知療法」と「行動療法」をあわせたものです。「認知」と「行動」にそれぞれ働きかける治療をおこなってゆがみを修正し、心の負担を軽くすることを目指します。主に、以下のような手法です。

<認知行動療法の具体例>
・認知療法①:コラム法(認知再構成法)
・認知療法②:ベックの認知療法
・行動療法①:曝露療法
・行動療法②:リラクセーション法

認知療法①:コラム法(認知再構成法)


「コラム法(認知再構成法)」は、自分の思考を紙に書き出して整理・分析することによって現実とのズレを自覚し、少しずつ思考の幅を広げていく治療法です。以下のように3つ、5つ、7つの項目を使って思考をまとめ、より良い捉え方を探します。

<コラム法の種類>
書き出す項目
3コラム法 ・物事(どのような事実に対して)
・感情(どう思ったのか)
・考え(なぜそう捉えたのか)
5コラム法 3コラム法の項目に加えて
・他の考え(別の捉え方はできないか)
・他の考えに対する感情(捉え方が変わると感情はどう変化するか)
7コラム法 5コラム法の項目に加えて
・根拠(最初の考えが生まれた理由)
・反証(他の考えにつなげる別の可能性)
コラム法の最終的な目的は、自分の思考を見直して冷静かつ客観的な捉え方を見つけることです。はじめは3つの項目に沿って思考を整理し、次に5つあるいは7つの項目に沿って分析していくのが良いでしょう。日常で起こった物事について記録と分析を繰り返し、冷静かつ客観的な「他の考え」を導き出す訓練を重ねていきます。

認知療法②:ベックの認知療法


「ベックの認知療法」は、人間の思考の過程を「スキーマ」→「推論の誤り」→「自動思考」の3段階に分けて考え、根本であるスキーマの偏りを修正する治療法です。

心理分野における「スキーマ」とは、人間が人生経験を通じて獲得する「思考の枠組み」のことです。「赤くて丸い、みずみずしい野菜」という限られた情報だけで「トマト」が連想できるように、私たちは物事を考えるときに無意識にスキーマを利用しています。

スキーマが正常なものであれば、そこから信頼性の高い推論を導き出して自動思考につなげることができます。しかし、たとえば「自分はダメな人間だ」というような偏ったスキーマを持っていると、導き出される推論が誤ったものになり、自動思考のズレとしてあらわれるのです。

ベックの認知療法では、さまざまなテーマについて考え、偏ったスキーマをひとつずつ修正していくことによって認知のゆがみの改善を目指します。

行動療法①:曝露療法


「曝露療法」は、強い不安や恐怖を感じる物事に少しずつ触れて心身を慣らしていく、行動を起点として認知のゆがみも修正する療法です。

曝露療法は、特定の状況・シチュエーションに対して強い不安や恐怖を感じているときに有効です。たとえば、「大勢の人がいる場所に出かける」ことが怖いと感じているなら、最初は一歩足を踏み入れてみるだけからはじめ、慣れてきたらその場に数分間滞在する、その次は周辺を散歩してみる、というように徐々に刺激を増やしていきます。
信頼できるカウンセラーやご家族などとともに治療に取り組んで「大丈夫だった」という経験を重ね、最終的には自分一人だけでも問題なく「大勢の人がいる場所に出かける」ことができる状態を目指します。

行動療法②:リラクセーション法


「リラクセーション法」は、さまざまな行動によって緊張した心身をリラックスさせ、不安をやわらげる療法です。

リラクセーション法には「呼吸法」・「漸進的筋弛緩法」・「自律訓練法」などさまざまな種類があります。それぞれ深呼吸やストレッチ、瞑想的、エクササイズなどを通して心身に働きかけるもので、これらは認知療法とあわせて取り入れられることが多いです。

自分で心身をリラックスさせられるようになることで、緊張や不安をコントロールできるようになり自信につながります。

まとめ


「認知行動療法」は、認知および行動に働きかけて思考のバランスを整え、ストレスを感じやすい心の負担を軽くする治療法です。認知行動療法の手法としては、以下のような具体例があります。
<認知行動療法の具体例>
・認知療法①:コラム法(認知再構成法)
・認知療法②:ベックの認知療法
・行動療法①:曝露療法
・行動療法②:リラクセーション法

これらの治療法に取り組むことで認知のゆがみや思考のズレを修正し、ストレスや不安・恐怖を感じやすい性質の改善を目指します。

横浜市港南区にあるカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法を主軸としたカウンセリングをおこなっています。日々の生きづらさ、人間関係の問題などを解消する方法をともに探してみませんか?繊細で落ち込みやすい自分を変えたい、理想の自分になりたいとお考えの方は、ぜひお気軽に相談へお越しください。

認知行動療法って?治療の具体例をご紹介
認知行動療法って?治療の具体例をご紹介

2024/03/24

認知行動療法のやり方は?向き・不向きも解説

精神疾患の治療をするにあたって薬物療法を用いず、副作用や依存などのリスクを避けられるのが「認知行動療法」です。

今回は、認知行動療法の内容や効果、認知行動療法が向いている人・向いていない人の特徴について解説します。認知行動療法が自分に向いていそうか、はたまた他の治療法を検討すべきか参考にしてみてください。

認知行動療法とは?


「認知行動療法」とは、日常的に大きなストレスを感じて苦しんでいる方や精神疾患を持つ方が、ストレスの一因である認知のゆがみを修正して心の負担を軽減することを目指す心理療法です。

「認知」とは、物事の捉え方・受け止め方のことをいいます。同じ物事に対してポジティブな捉え方をする人とネガティブな捉え方をする人がいるのは、人それぞれの認知の癖があり、考え方が少しずつ違っているからです。

周囲の人が簡単にこなしていることに対して強い不安を感じてしまったり、まだ起こってもいないトラブルを懸念して消極的になってしまったりするのを「私はこういう性格だから仕方ない」と諦めてはいないでしょうか?些細なことで非常に大きな不安を感じる方や、なにかと極端にネガティブに考える方は、この「認知」にゆがみが生じている状態です。

このような場合は、偏った状態の思考バランスを整える「認知療法」と、行動を起こすことによって紐づけられた不安を解消していく「行動療法」の2種類の方法によって修正できる可能性があります。

認知療法


認知療法は、自分が偏った思考を持ってしまっていることに気づき、少しずつ考え方の幅を広げていく療法です。代表的なものに、「コラム法」があります。

コラム法では、不安やストレスを感じたとき、または悲しみや怒りなどの感情を覚えたときに、その瞬間を記録して振り返る方法です。「どんな物事に対して」「どんな気持ちになったのか」「なぜそう思ったのか」を見返しながら考え、自分の思考を分析します。医師やカウンセラーとともに、自分の思考が目の前にある事実と矛盾していないか、さらにポジティブな捉え方はできないかを考えを巡らせることによって、冷静で客観的な思考を取り戻していくものです。

行動療法


行動療法は、強い不安を感じる物事に少しずつ触れ、その行動をきっかけにして徐々に心を慣らしていく療法です。代表的なものに「曝露療法」があります。

たとえば、不安障害を持っている方が「電車に乗ること」に不安や恐怖を感じている場合は、カウンセラーなどと一緒にまずは各駅停車に乗って一駅だけの移動に挑戦します。行動による刺激に慣れてきたら移動距離を延ばしたり、快速電車に乗ってみたりして「大丈夫だった」という経験を積み重ねていき、最終的には一人でも問題なく電車に乗れるようになることを目指すというものです。

認知行動療法によって解消できる問題


認知行動療法では、以下のような問題やお悩みを解消する効果が期待できます。

<認知行動療法によって解消できる問題>
・何事もネガティブに考えてしまう癖
・特定の物事への強い不安・恐怖感
・瞬間的な感情に振り回されてしまう精神状態
・さまざまな精神疾患

それぞれどのような効果があるのか見ていきましょう。

何事もネガティブに考えてしまう癖


あらゆる物事に対して極端にネガティブに考えてしまう原因は、認知のゆがみ・自動思考のズレにあります。自動思考とは、ある物事に対して認知が呼び出す瞬間的なイメージのことです。

たとえば、同じ犬を目にしたときに瞬間的に「かわいい」と思う人と「怖い」と思う人がいるように、認知には人それぞれの癖があります。このとき、自動思考が現実と大きなズレを起こしている状態の場合「噛みついてくるのでは」といったマイナスなイメージが浮かび、目の前で大人しくしているだけの犬に対しても強い不安や恐怖心が生まれてしまうのです。

認知行動療法では、このような瞬間的な思考イメージを冷静かつ客観的に分析することで現実とのズレを自己認識し、ポジティブな方向へ考え方・捉え方の幅を広げていくことができます。

特定の物事への強い不安・恐怖感


電車に乗ること、大勢の人がいる場所へ出かけること、人前で食事をとることなど、特定の物事やシチュエーションへの強い不安や恐怖を抱えてしまっている方は、認知行動療法によって問題の解消を目指せます。カウンセラーや家族などの信頼できる相手とともに不安や恐怖を感じる物事に少しずつ挑戦し、時間をかけて心身を慣らし、日常生活を楽しめる時間を増やしていくことが可能です。

瞬間的な感情に振り回されてしまう精神状態


認知のゆがみがある状態では、強い不安や恐怖、悲しみ、怒りといった激しい感情が湧きやすく、自分の瞬間的な感情に振り回されてしまいがちです。認知行動療法によって思考のバランスを整えることで、目の前にある事実だけを冷静かつ客観的に捉えることができるようになります。

さまざまな精神疾患


認知行動療法は、さまざまな精神疾患を改善させる効果があります。主に、うつ病・パニック障害・社交不安障害・不眠症・摂食障害などです。薬物療法でなかなか回復の兆しが見えない方や、服薬をやめた後すぐに疾患が再発してしまった方には、認知行動療法による治療がより適している可能性があります。

認知行動療法が向いている人・向いていない人


認知行動療法は多種多様な精神疾患を改善できる治療法ですが、人によって向き・不向きがあります。患者さまの精神状態や置かれている環境をふまえて、どのような方法での治療が適しているのかを判断することが大切です。

認知行動療法が向いている人


認知行動療法が向いているのは、以下のような人です。
<認知行動療法が向いている人>
・治療に前向きである人
・自分を変えたいという意思を持っている人
・特定のテーマについて考えを深めることが好きな人

認知行動療法は「自分の認知と行動を見直す」ものであるため、誰よりも患者さま自身が積極的に自分と向き合い、考えながら治療に取り組んでいく必要があります。考えていることを紙に書き出して整理・分析する作業が好きな人には特に向いているといえるでしょう。

認知行動療法が向いていない人


認知行動療法が向いていないのは、以下のような人です。

<認知行動療法が向いていない人>
・治療に前向きではない人
・今は自分と向き合うことが難しい状態の人
・認知や行動よりも先に改善すべき事象がある人

自分を変えたいという明確な意思がなかったり、過去のつらい経験と今すぐに向き合うことが難しい状態であったりする場合は、認知行動療法には向いていません。認知行動療法は、患者さまご自身の協力が欠かせない療法です。治療に前向きであっても、たとえば現在進行形でハラスメントの被害を受けているような状態の人は、認知行動療法よりもまずは周辺環境の改善を優先する必要があります。

まとめ


「認知行動療法」は、物事の捉え方への働きかけをおこなうことで、心のストレスを軽減するための心理療法です。精神的・環境的にも適した状態の方が治療を受けることで、認知・行動にかかわるさまざまな問題解消が可能です。患者さまご自身が治療に前向きに取り組んでいただければ、薬物療法と同等あるいはそれ以上の効果も期待できます。

横浜市港南区のカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、患者さまが抱えているお悩みや日常生活のなかで感じている問題を解消し、本来の自分を取り戻すためのカウンセリングをおこなっております。「キミィ・メンタル・サプリ」で認知行動療法を主軸とした治療で自分と向き合い、「なりたい自分」を目指してみませんか。

認知行動療法のやり方は?向き・不向きも解説
認知行動療法のやり方は?向き・不向きも解説

2024/03/17

セルフ認知行動療法とは?ネガティブ思考をやめてストレスを減らす方法をご紹介

「認知行動療法」は、日常生活における認知への働きかけをおこない物事の捉え方や見方にアプローチして、ストレスや心の負担を軽減する治療法です。

今回は、認知行動療法とはどのようなものか解説するとともに、自分だけでおこなう「セルフ認知行動療法」の方法についてご紹介します。誰でも簡単に始められるものなので、ぜひ気軽に取り組んでみてください。

認知行動療法って?


「認知」とは、物事に対する個人の捉え方・受け取り方のことです。認知には人それぞれ癖があり少しずつ違っているので、同じ物事に対しても異なる見方・考え方が生まれるのです。

認知にゆがみやズレがあると、物事を必要以上にネガティブに捉えたり、大きなストレスを感じたりしてしまうことがあります。偏った認知に働きかけてズレを修正し、ストレスを感じやすい心を楽にする心理療法が「認知行動療法」です。

認知行動療法は、心理に関する専門知識をもつ医師やカウンセラーとのカウンセリングを通じておこなうのが一般的です。しかしながら、認知行動療法の一部の手法は「セルフ認知行動療法」として自分だけで取り組むこともできます。

「認知のゆがみ」とは


たとえば、街中で偶然知り合いの姿を見つけたとします。自分が挨拶をしたにもかかわらず、相手が無反応で通り過ぎていってしまったらどう感じるでしょうか?

認知が正常な状態であれば、「声が届かず気づかなかったのかな」と感じるでしょう。しかし、認知にゆがみがある状態だと「挨拶を無視するなんて失礼な人だ」、「相手に嫌われているから気づかないふりをされたのかも」といったネガティブな考えが浮かんできます。

このような、認知が呼び出す瞬間的なイメージのことを「自動思考」といいます。”相手に気づかれなかった”という事実以上にネガティブなイメージがとっさに呼び出される場合は、自動思考と現実にズレが生じている状態であり、「認知のゆがみ」にもつながっているのです。

認知行動療法によって、認知のゆがみを修正して必要以上にネガティブなイメージが生まれるのを防ぎ、ストレス・心の負担を軽減させることができます。

認知行動療法で得られる効果


認知行動療法では、以下のような効果が期待できます。

<認知行動療法で得られる効果>
・物事を冷静に、客観的に捉えられるようになる
・ポジティブに考えられるようになる
・日常生活のなかで感じるストレスを軽減できる
・さまざまな精神疾患の再発を予防できる

物事を冷静に、客観的に捉えられるようになる


認知行動療法によって認知のゆがみを修正できれば、物事を必要以上にネガティブに捉えてしまうことがなくなります。目の前にある事実のみを冷静かつ客観的に捉え、余計な感情に振り回されることなく過ごせるようになるでしょう。

「あの人に嫌われているかも」、「自分の発言・行動が変だと思われていないだろうか」といったようなネガティブなイメージにとらわれて、日々の生活に悪影響をおよぼしてしまっている方には認知行動療法が大きな効果をもたらします。

ポジティブに考えられるようになる


認知のゆがみを修正し、瞬間的にネガティブなイメージが浮かんでしまう状態を脱することで、次第にあらゆるテーマをポジティブに考えられるようになります。失敗を恐れて消極的になってしまいがちな方も、勇気をもって一歩を踏み出しやすくなるでしょう。

日常生活のなかで感じるストレスを軽減できる


自動思考でネガティブなイメージが浮かぶ機会を減らすことによって、日常的に感じているストレスを軽減させることができます。心理的な負担が減って過ごしやすくなるだけでなく、認知のゆがみが大きくかかわる睡眠障害や摂食障害、社交不安障害といった精神疾患の予防・改善にもつながります。

さまざまな精神疾患の再発を防止できる


精神疾患のなかには、一度症状が治まってもふとしたことがきっかけで再発してしまうものが数多くあります。認知のゆがみによるストレスや心理的負担が、疾患の再発のきっかけになる可能性がおおいにあるのです。

薬物療法のみで精神疾患の完治・寛解を目指すと、疾患の一因である認知のゆがみが放置されてしまい、薬を飲むのをやめた途端にふたたび症状があらわれることが少なくありません。認知行動療法は、効果を実感できるまで根気よく治療に向き合う必要がありますが、疾患の原因の根本にアプローチするため回復後の再発率が低いというメリットがあります。

自力でおこなう「セルフ認知行動療法」のやり方


認知行動療法は医師やカウンセラーと一緒におこなうのが一般的ですが、自分だけで実践することもできます。現在病院にかかっている方は必ず医師と相談したうえで、これからご紹介する「セルフ認知行動療法」に取り組んでみてください。

自動思考を記録して客観的に見返す


「コラム法」あるいは「認知再構成法」と呼ばれる、自分の自動思考を記録して見返すことによって認知のゆがみ・自動思考のズレを自己認識していく方法です。

どんな事実に対してどんなイメージが思い浮かんだのか、そう思った理由は何かをありのままにメモに記録しておき、感情が落ち着いてからメモを見返します。自分の自動思考が事実と矛盾していないか、別の捉え方はできないか、と時間をおいて客観的に考えてみると、自分の考え方の癖や傾向を知るとともに思考の幅を広げることができるのです。

コラム法(認知再構成法)は、ついネガティブに物事を捉えてしまう癖を直したい方におすすめです。日常生活のなかで不安を感じたときや、気分が落ち込んでしまっているときなどに、自分の素直な気持ちを記録することを意識してみてください。

楽しい、わくわくする気持ちになれる行動を増やす


人間の思考は行動と強く結びついています。気分が盛り上がっているときには、友人と出かけたくなったり、新しいことに挑戦してみたくなったりするものです。反対に気分が落ち込んでいるときには、一人でゆっくり過ごしたい、家から出たくないと考えることが多いでしょう。

さまざまな精神疾患の再発を防止できる


精神疾患のなかには、一度症状が治まってもふとしたことがきっかけで再発してしまうものが数多くあります。認知のゆがみによるストレスや心理的負担が、疾患の再発のきっかけになる可能性がおおいにあるのです。

薬物療法のみで精神疾患の完治・寛解を目指すと、疾患の一因である認知のゆがみが放置されてしまい、薬を飲むのをやめた途端にふたたび症状があらわれることが少なくありません。認知行動療法は、効果を実感できるまで根気よく治療に向き合う必要がありますが、疾患の原因の根本にアプローチするため回復後の再発率が低いというメリットがあります。

自力でおこなう「セルフ認知行動療法」のやり方


認知行動療法は医師やカウンセラーと一緒におこなうのが一般的ですが、自分だけで実践することもできます。現在病院にかかっている方は必ず医師と相談したうえで、これからご紹介する「セルフ認知行動療法」に取り組んでみてください。

自動思考を記録して客観的に見返す


「コラム法」あるいは「認知再構成法」と呼ばれる、自分の自動思考を記録して見返すことによって認知のゆがみ・自動思考のズレを自己認識していく方法です。

どんな事実に対してどんなイメージが思い浮かんだのか、そう思った理由は何かをありのままにメモに記録しておき、感情が落ち着いてからメモを見返します。自分の自動思考が事実と矛盾していないか、別の捉え方はできないか、と時間をおいて客観的に考えてみると、自分の考え方の癖や傾向を知るとともに思考の幅を広げることができるのです。

コラム法(認知再構成法)は、ついネガティブに物事を捉えてしまう癖を直したい方におすすめです。日常生活のなかで不安を感じたときや、気分が落ち込んでしまっているときなどに、自分の素直な気持ちを記録することを意識してみてください。

楽しい、わくわくする気持ちになれる行動を増やす


人間の思考は行動と強く結びついています。気分が盛り上がっているときには、友人と出かけたくなったり、新しいことに挑戦してみたくなったりするものです。反対に気分が落ち込んでいるときには、一人でゆっくり過ごしたい、家から出たくないと考えることが多いでしょう。
このつながりを利用し、なんらかの行動を起こして思考を変化させることを「行動活性化」と呼びます。楽しい、わくわくする気持ちになれる行動をとる機会を増やして、ポジティブな思考をより積極的に引き出すのです。

行動のあとには、どんな気分になったか何ができるようになったかを記録し、ポジティブな気持ちになっている自分を認識することで認知のゆがみを修正していきましょう。

まとめ


認知のゆがみや自動思考のズレを修正し、物事を極端にネガティブに捉えてしまう癖を直すことを目指すのが「認知行動療法」です。セルフ認知行動療法は、以下のような方法で自分一人で取り組むこともできます。

<セルフ認知行動療法のやり方>
・自動思考を記録して客観的に見返す
・楽しい、わくわくする気持ちになれる行動を多くとる

セルフ認知行動療法では効果を感じられなかった方や、一人で実践することに不安がある方は横浜市港南区のカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」にお気軽にご相談ください。「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法を主軸としたカウンセリングをおこなっております。明るくポジティブな本来の自分を取り戻す方法を、ともに考えていきましょう。

セルフ認知行動療法とは?ネガティブ思考をやめてストレスを減らす方法をご紹介
セルフ認知行動療法とは?ネガティブ思考をやめてストレスを減らす方法をご紹介

2024/03/11

認知行動療法とは

近年は、「周囲の人たちと接するのが難しい…」「自分の意見に自信が持てない」などとお悩みの方も少なくありません。そのような方々にぜひとも知っておいていただきたいのが、心理療法のひとつ「認知行動療法」です。

今回は、その認知行動療法についてわかりやすく解説します。人間関係や心の問題にお悩みの方は、ぜひご覧ください。

認知行動療法とは


認知行動療法とは、認知への働きかけをおこなうことで、心に溜まったストレスを軽減するための心理療法 です。厚生労働省によると、認知行動療法はうつ病をはじめとする心の病に対して効果がある心理療法だと 立証されています。

そもそも「認知」とは、ある状況において、物事をどのように受け取る、あるいは見るのかを表す言葉です。認知は心の状態に左右されやすく、ストレスが溜まっているときは悲観的に物事を考えやすくなり、次第に心が追い込まれることもあります。

認知行動療法で取り組むのは、物事を悲観的に捉えるような考え方への働きかけです。治療を通じてストレスと上手に付き合える心を育てます。

認知行動療法が必要な理由


認知行動療法が必要な理由は、個人個人に備わった本来の能力を最大限発揮してもらうためです。物事に対して必要以上に不安感を抱いたり落ち込んだりすると、パフォーマンスが低下して潜在能力を活かしにくくなります。

たとえば、返却された数学のテストが60点だったとしましょう。このとき、心が健康な方と心に病を抱えた方との認知にはさまざまな違いがあります。

【例:数学のテストが60点だった際の認知の違い】
心が健康な方 心に病を抱えた方
・60点分も正解できた
・60点は、実力を考えれば十分だ
・数学は点数が良くなかったが、国語はそこそこ、英語は90点以上に違いない ・40点分も間違ってしまった
・満点を取れなかったのだから、0点と変わりない
・きっと他の科目の点数も低いだろう
心が健康な方はテストの結果や、今後返却されるテストの点数を前向きに考えられます。物事に対して何が良くて何が悪いのか、落ち着いて判断できているともいえるでしょう。

一方、心に病を抱えている方は全体的にマイナスな考え方が多く、未来予想も悲観的です。心が下向きになると意欲の低下や気分の落ち込みにつながり、その後のパフォーマンスにも悪影響をおよぼしやすくなります。

認知行動療法を用いることで、パフォーマンスの低下につながる極端なマイナス思考、いわば認知のクセは改善可能です。前向きな物事の捉え方が身につき、さまざまな場面で潜在能力や才能を役立てられるようになります。

認知行動療法に期待できること


認知行動療法をおこなうことで、以下の病の改善が期待できるとされています。

【認知行動療法の効果が期待される病】
・うつ病
・パニック障害
・強迫性障害
・統合失調症 など

なかでもうつ病とパニック障害は、薬物療法による治療と比較した結果、認知行動療法を用いた患者さんのほうが再発しにくいとの結果が出ています。これらの病に悩んでいる方にとって、認知行動療法は試してみる価値があるといえるのです。

うつ病


うつ病とは、集中力の低下や不安感、不眠など気分や身体などにさまざまな影響が生じる疾患です。発症する原因はストレスと考えられており、小さな精神的なストレスが積み重なっても起こり得るとされています。

パニック障害


パニック障害とは、動悸や発汗などのパニック発作が突然起きたり、いつパニック発作が起きるか不安になり、日常生活に支障をきたしたりするほどの恐怖を感じる状態になることです。パニック障害が起こるシーンは乗り物や人混みなどさまざまで、発作の内容も身体の震えや息苦しさ・めまいと多岐にわたります。

強迫性障害


強迫性障害とは、不安や恐怖心から過剰な手洗いや戸締まりの確認などを繰り返す疾患のことです。普段の生活や習慣の延長線にあるため過剰な行動かどうか判断しにくいものですが、日常生活に支障が出るほどの行動内容だと判断された場合、強迫性障害が疑われます。

統合失調症


統合失調症とは、思考に混乱が生じたり自ら行動しなくなったり、判断力が低下したりする精神疾患です。代表的な症状はさまざまありますが、なかには妄想や幻覚を見てしまう ケースもあります。原因は過度なストレスや神経伝達物質のバランスが乱れることなどといわれていますが、実のところは判明していません 。

認知行動療法の具体的な内容


実際に認知行動療法を開始する場合は、主に以下の流れで治療が進みます。なお、治療したい疾患により、認知行動療法の手順や内容に多少の差はあると考えておきましょう。

【認知行動療法の具体的な内容】
1.治療方針を立てる
2.行動活性化で適応力の強化を図る
3.認知のクセを修正する

各項目について、解説します。

1.治療方針を立てる


認知行動療法では最初に治療方針を決定すべく、患者さんと話し合いを重ねます。悩んでいることや長所などから調査した患者さんの人となりを参考にしながら、今後の計画を練り上げます。

作成した治療方針は患者さんと共有し、担当者だけが把握することはありません。患者さんと共に治療を進めていきます。

2.行動活性化などで適応力の強化を図る


治療方針が決まったら、行動活性化などの手段を用いてストレスなどさまざまな問題に対応できる力を身につけます。行動活性化とは、自分が楽しいと思える、あるいはやりがいにつながる活動に取り組むことです。

行動活性化は気分を高める働きがあり、無理のない範囲でおこなうことで少しずつ生活リズムが身につきます。行動の内容は、日常生活を送るうえで必要なものや楽しいと感じるものなどさまざまです。
以下に行動活性化に該当する活動例を挙げたので、ぜひ参考にしてください。

【行動活性化の例】
・お風呂に浸かる
・身近な場所を掃除する
・好きな音楽を流す
・気になるお店に出かける
・家の周りを散歩する など

行動活性化に加えて、現在悩んでいる症状の原因をひも解き、問題を解消する取り組みも実施します。気持ちをコントロールする、あるいは自信を持てるようになったら、少しずつ他者との交流も図るようにします。このような治療を続けていくことで、次第に状況に対応できる能力が向上していくでしょう。

3.認知のクセを修正する


適応力の向上をクリアしたら、認知のクセを修正します。修正のカギは、ある出来事が起きたときに瞬間的に思いうかぶ認知、つまり自動思考です。

自動思考をピックアップし、理由や結果などをひとつずつ確認していくことで、認知と現実の違いを理解しやすくなります。次第に極端にマイナスに物事を捉える見方が改善され、必要以上の不安感や落ち込みを感じることも少なくなるでしょう。症状が回復したら、認知行動療法による治療は終了です。

横浜で心理カウンセリングを受けるなら【キミィ・メンタル・サプリ】へ


認知行動療法とは、認知への働きかけをおこない物事の捉え方や見方にアプローチして、悲観的な考え方をあらためる心理療法です。うつ病や強迫性障害など、心の病の治療に役立つとされており、特にパニック障害などに関しては再発しにくいとされています。治療方法は大きく3段階にわかれており、面談などを重ねて改善を図ることが可能です。

神奈川県横浜市にあるキミィ・メンタル・サプリでは、認知行動療法を用いてクライエント様のお悩みに根本からアプローチ します。周辺にお住まいで、心の悩みを抱えている方は、ぜひ一度お越しくださいませ。

認知行動療法とは
認知行動療法とは

2024/03/07

過度な心配とこだわり~強迫性障害を疑うような症状を認知行動療法で改善する~

こんにちは。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
いつまでも寒いですね。今日は出がけに厚手のダウンコートを着てしまいました。

さて、本日は「強迫性障害かもしれない症状に認知行動療法をどう用いるか」というお話です。

あるクライエントさんには強迫性障害を疑うような過度な心配とこだわりがあります。
具体的には「カギをかけたはずだけど,かけていないかもと心配になり、何度も確認してしまう」「夜、戸締りをしようと家中の窓を見に行くとき、外に誰か潜んでいて侵入してくるのではないかと思うと怖くて開けられない」「外出中、男の人の大きな声がすると、その人が自分に襲ってくるのではないかと思って、その場から逃げ出したくなる」というような感じです。
これらに病名をつけるなら、「確認行為と加害恐怖の強い強迫観念と脅迫行為があるので強迫性障害ですね」ということになるでしょう。心療内科や精神科では、そこで薬物療法を勧められると思いますが、カウンセリングでは認知行動療法が有効と考えています。
このような方は「几帳面」「完璧主義」「こだわりが強い」「責任感がある」などの性格の方が多く、それゆえに異常なほど心配がつのったり、不安におびえたりと行き過ぎた反応を示すと考えられますが、どこからが生活に支障をきたすほどなのか認知行動療法で探って観察し、少し認知や行動を変えていくのが認知行動療法です。
だれでも「あれ、鍵かけたっけ?」と心配になる時はありますし、「夜、家の外に誰か潜んでいたら嫌だな」と思う時もあります。外でいきなり大きな音がしたり男性の大きな声がしたら「何?何かあったの?怖い!」と思うのは自然な反応ですね。
でもその先に、あらぬ妄想が湧いてしまって身動きができなかったり、外出が怖くて出来なかったり、心臓の鼓動が早くなってしまうとしたら、その手前で認知がどうなっているのか行動がどうなってしまうのか、見極める必要があります。
誰しもが抱く心配や不安をエスカレートさせてしまわないように、安心して楽しい生活を営めるマインドを構築できるといいですね。

認知行動療法ではそうした心理的要因を探って、強迫観念や脅迫行為に襲われないよう改善を目指しています。
ご興味にある方は、是非一度、ご相談にいらしてください。

過度な心配とこだわり~強迫性障害を疑うような症状を認知行動療法で改善する~
過度な心配とこだわり~強迫性障害を疑うような症状を認知行動療法で改善する~