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2024/06/02

統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介

「統合失調症」は、思考・行動の乱れが起こる精神疾患です。症状が進行すると社会生活が困難になってしまうこともあるので、病気の兆候があらわれたらできる限り早く病院を受診し、早期に治療を始めることが大切です。

今回は、統合失調症とはどのような病気なのか、どのような方法で治療をおこなうのかを解説します。現在、薬物治療を受けており、カウンセリングにご興味をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。

統合失調症とは


「統合失調症」とは、現実感覚が混乱して気持ちや考え(思考)がまとまらなかったり、そのような思考から行動の乱れが引き起こされてしまったりする精神疾患です。脳の神経伝達物質の異常が原因と考えられており、症状が重くなると日々のコミュニケーションや仕事などに支障をきたして、日常生活が送れなくなってしまうこともあります。

統合失調症に悩む人は日本全国に約80万人いるとされており、誰もが発症する可能性があるものです。症状は、「陽性症状」、「陰性症状」、「認知機能障害」の3種類に大きく分けられます。

【統合失調症の症状】
陽性症状 統合失調症によって新たにあらわれた症状
→妄想、幻覚・幻聴など
陰性症状 統合失調症によって本来あったものが失われてしまう症状
→意欲の低下、感情表現の喪失など
認知機能障害 健康なときには備わっていたさまざまな認知機能が低下する症状
→記憶力、注意力、集中力、判断力などが低下

統合失調症は、発症しやすい年代や症状の傾向、経過などによって以下の3つのタイプに分けられます。

<統合失調症のタイプ>
・タイプ①:破瓜(はか)型(解体型)
・タイプ②:緊張型
・タイプ③:妄想型

それぞれ詳しくみていきましょう。

タイプ①:破瓜(はか)型(解体型)


「破瓜(はか)型統合失調症」は、退行、抑制機能の消失、支離滅裂な発言や行動をする、感情の起伏がなくなる、意欲が低下するといった陰性症状が特に強くあらわれるタイプです。思考が解体することから、近年では「解体型統合失調症」とも呼ばれます。

10代から20代前半、思春期から青年期にかけての時期に発症することが多いです。症状の進行にともなって本来存在した人格が解体されてしまい、社会復帰が困難になっていきます。

タイプ②:緊張型


「緊張型統合失調症」は、激しい興奮状態と昏睡状態・カタレプシー(奇妙な姿勢のまま身体が硬直して動けなくなる)という真逆の症状があらわれるタイプです。

10代後半から20代、特に20歳前後の青年期に発症することが多いです。突然大声を出すなどの激しい状態と急激に落ち着く状態を繰り返すもので、適切な治療を受ければ徐々に状態が安定していきます。しかし、治療を中断すると再発してしまうことが多く、再発を何度も繰り返すと破瓜型(解体型)に移行することもあります。

タイプ③:妄想型


「妄想型統合失調症」は、妄想や幻覚・幻聴といった陽性症状が特に強くあらわれ、陰性症状は目立ってあらわれないタイプです。

多くは20代後半から30代に発症します。誇大妄想や被害妄想から不安や恐怖を覚えやすくなったり、怒りっぽくなったりしますが、感情表現の喪失や意欲の低下などはあまりみられません。症状が落ち着いているときであれば、人とのコミュニケーションや仕事などの社会活動もこなせます。

3つのタイプには当てはまらないケースも


統合失調症は複数の精神疾患の集合体とも考えられており、まだ解明されていない部分が大きい病気です。統合失調症のなかには、前述した3つのタイプには当てはまらないケースも存在します。

統合失調症の治療方法


統合失調症の治療方法は、薬物療法がもっとも主流です。薬によって脳の異常を抑えながら、カウンセリングを通じて心理療法による治療を受けることも有効であるとされています。

薬物療法


統合失調症の原因は脳機能の異常と考えられているため、大多数の場合は治療薬の内服によって症状が大きく改善します。抗精神病薬を中心に、不安の症状が強い場合は抗不安薬、睡眠障害を併発している場合は睡眠薬といったように、それぞれの症状や病状にあった薬が用いられます。

統合失調症の治療は、精神科や心療内科に通って薬物療法を受けつつ、その他の治療法も適宜取り入れる形式が一般的です。

カウンセリング・認知行動療法


病院やカウンセリングルームに在籍するカウンセラーとの対話を通じて、統合失調症に有効とされる「認知行動療法」による心理治療を受けるという方法もあります。

「認知行動療法」は、人の認知・行動に働きかけて心の負担を軽減することを目指す、カウンセリングによる心理療法です。自分の思考を深く分析したり、極端な不安・恐怖を感じている物事に少しずつ触れて心身を慣らしたりすることで、物事の捉え方・受け止め方である認知のゆがみを自覚・修正していくことが目的です。

統合失調症にカウンセリングは逆効果?


統合失調症の治療方法について調べているうちに、「統合失調症にカウンセリングは逆効果」といわれているのを目にしたことがある方もいるかもしれません。

今となっては昔の話ですが、カウンセリングは統合失調症を悪化させるため不向きだとされていた時代が実際にありました。現在は、統合失調症の治療においても認知行動療法に基づいた理論・技法が適用できることが認められています。

しかし、統合失調症に限らず、精神疾患の傾向・程度によってはカウンセリングが適さないケースも存在します。統合失調症の症状は明確なタイプ分けが難しいほど多岐にわたるため、個々に適した治療方法の見極めが非常に重要です。

カウンセリングが向いていないケース


精神疾患の治療において、症状や傾向によってカウンセリングが向いていないケースがあります。以下のようなケースは、カウンセリングによる治療は向いていません。

<カウンセリングが向いていないケース>
・カウンセリングは不要、受けたくないと感じている
・カウンセラーとの信頼関係が築けない
・先に薬物療法が必要な状態である

カウンセリングによる治療では、抱えているお悩みや不満をありのままに話すことが必要です。そのためには、治療に前向きであることと、カウンセラーとの信頼関係を構築して「なんでも打ち明けられる」と安心できることが欠かせません。

カウンセリングを受けたくないと感じている状態、人間不信が強い・相性が悪いなどの理由でカウンセラーとの信頼関係が築けない状態のほか、病気による症状が重く薬物療法を優先すべき状態である方などにはカウンセリングは不向きです。

カウンセリングが向いているケース


カウンセリングによる治療の方が、効果的に働くケースもあります。以下のようなケースは、カウンセリングによる治療が向いています。

<カウンセリングが向いているケース>
・カウンセリングに意欲的である
・抱えている悩みや不満についてじっくり相談したいと思っている

カウンセリングによる治療を受ける意欲がある方は、カウンセリングが向いているといえます。自分の考えや悩みについて自己分析ができる状態である場合も、カウンセリングによる治療が効果的です。現在病院に通っている方は、カウンセリングを受けたい旨を主治医に相談したうえで治療を始めてみてください。

まとめ


統合失調症の治療には、薬物療法のほかにカウンセリングを通じた心理療法も有効です。認知行動療法の理論・技法によってストレスの原因を取り除き、心を楽にすることができます。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、統合失調症に対して有効とされる認知行動療法を主軸としたカウンセリングをおこなっています。統合失調症の治療にカウンセリングを取り入れたいとお考えの方は、是非お気軽にご相談ください。

統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介
統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介

2024/05/26

自動思考とは何?認知行動療法で改善を目指す方法を解説

「自動思考」とは、物事に対して無意識に思い浮かべる考えやイメージのことです。「特定の物事に対して過剰な不安・恐怖を感じてしまう」あるいは「あらゆる物事をネガティブに考えてしまう」という方は、自動思考に注目した治療をおこなうことで心の負担を軽減できる可能性があります。

今回は、その自動思考とは何か、どのように心に影響するのかを解説します。また、心に悪影響をおよぼしている状態の自動思考を改善する「認知行動療法」についてもご紹介していくので、参考にしてみてください。

自動思考とは


「自動思考」とは、ある出来事やもの、人などに対して瞬間的に浮かび上がる考えやイメージのことです。たとえば、目の前にりんごを置かれたときに「この赤くて丸いものは何だろう」と考えることなくすぐに「りんごだ」とわかるのは、自動思考によって無意識的に答えを導き出しているからです。

自動思考には人によって少しずつ異なる傾向や癖があります。りんごを見て「これはみかんだ」と思うことはあまりないですが、「おいしそう」と思う人とそうでない人はどちらも多くいるものです。

自動思考は人の「認知」に大きな影響をおよぼしています。認知とは、物事の捉え方・受け止め方のことをいいます。認知にも人それぞれの個性があり、自動思考の傾向や癖がその違いをつくっているのです。

自動思考のもとになる「スキーマ」


「スキーマ」とは、人の思考の根本に存在し、自動思考の傾向や癖のもとになっている「思考の枠組み」のことです。スキーマは個人の人生経験の積み重ねによって形成されるもので、特に幼少期からの生育環境の影響を大きく受けています。

人が持つスキーマは無数にありますが、人間関係にまつわるものに関しては「自分に対するスキーマ」と「他人に対するスキーマ」と下記のように大きく分けることができます。

<自分に対するスキーマの例>
・自分は仕事ができない人間だ
・自分の存在は周囲に迷惑をかけてしまう
・自分は皆から嫌われる

<他人に対するスキーマの例>
・他人は仕事ができない自分を見下している
・他人は自分のことを迷惑がっている
・他人は皆自分のことを嫌う

人が物事について考えるときは、スキーマを無意識のうちに利用して自動思考を導き出しています。ネガティブなスキーマを多く持っている人は、あらゆる物事に対してネガティブな考えやイメージが浮かんでしまうのです。

もちろん、上記とは反対にポジティブなスキーマを持っている人もいます。特定の物事に対してだけでなく、あらゆる物事を極端にネガティブに考えてしまう方は、思考の根本にあるスキーマの偏りを修正することが必要です。

自動思考のズレが心の負担になる例


自動思考の傾向は人それぞれの個性ともいえ、これが正しいという決まった形はありません。しかし、自動思考の癖が強く、目の前にある事実からズレた状態であると、日常生活のなかでストレスを感じやすく心に負担がかかってしまいます。

たとえば、街中で偶然、向こうから歩いてくる知り合いの姿を見つけたとしましょう。自分から挨拶をしたのに、相手は返事をせず通り過ぎて行ってしまったらどのように感じるでしょうか?

この「挨拶をしたのに返事がなかった」という事実から導き出される考えは「突然のことだし気がつかなかったのかな」、「こちらの声が届かなかったんだろう」というようなものが通常です。しかし、「挨拶を無視するなんて失礼な人だ」、「私が嫌われているから気づかないふりをされたんだ」などと事実からネガティブな方向に飛躍した考えが浮かんでしまう場合は、自動思考が現実とズレを起こしているといえます。

自動思考がネガティブな方向に偏っていると、あらゆる物事に対してマイナスなイメージが浮かび、ストレスを感じやすくなってしまいます。些細なこともなにかと気になってしまう、傷つきやすいといった性質を「私はこういう性格だから仕方ない」と思っている方も多いかもしれません。このような思考の傾向に関するお悩みは、認知行動療法をはじめとした心理療法によって解消できるのです。

自動思考のズレを修正する「認知行動療法」


「認知行動療法」とは、自らの認知と行動に働きかけ、心の負担の原因となっている認知のゆがみやズレを修正するための心理療法です。もともとは異なる分野とされていた「認知療法」と「行動療法」があわさったもので、それぞれ複数の手法があります。

認知行動療法では、認知のゆがみを修正する手段として自分の自動思考に向き合います。どのようなこと・ものに対して、どのような気持ちになったのか、なぜそのように考えたのか、違う考え方はできないかを深く掘り下げることで、自分の考えと現実の矛盾やズレに気づき、思考の幅を広げていくというものです。

ここでは認知行動療法の代表的な手法をご紹介します。ご自身だけで取り組むことも可能なので、ネガティブな自動思考を改善したいと考えている方はぜひ注目してみてください。

コラム法(認知再構成法)


コラム法(認知再構成法)は、カウンセラーと一緒に、あるいは一人でおこなう認知療法の一種です。形式によって3コラム法、5コラム法、7コラム法などに分かれます。

コラム法では、日常生活のなかで不安や恐怖、怒り、悲しみなどの感情が生まれたときに、あるいはその状況を後から振り返って、以下のような項目に沿って自分の思考をメモに書き出します。

〈コラム法(認知再構成法)の種類・項目〉
書き出す項目
3コラム法 ・物事(どのような事実に対して)
・感情(どう思ったのか)
・考え(なぜそう捉えたのか)
5コラム法 3コラム法の項目に加えて
・他の考え(別の捉え方はできないか)
・他の考えに対する感情(捉え方が変わると感情はどう変化するか)
7コラム法 5コラム法の項目に加えて
・根拠(最初の考えが生まれた理由)
・反証(他の考えにつなげる別の可能性)

まずは3コラム法からはじめましょう。物事に対する感情をありのままに記録し、感情が落ち着いてきたら自分の考えに注目します。この段階では、思考のメモを積み重ねて、自分の思考パターンを知ることが大切です。

次に、5コラム法または7コラム法に挑戦します。項目が少ない方が書きやすいと感じる方は5コラム法を、一歩ずつじっくりと考えを深めていきたい方は7コラム法を選んでください。根拠・反証から物事に対する別の捉え方を探し、それによって瞬間的な感情をどう変化させられるかを考えます。

思考の整理・分析を重ねて自分の思考と現実のズレを自覚し、「こう捉えればいいんだ」という自分なりの答えをたくさん見つけることが大切です。そうすることで、自動思考のズレ・認知のゆがみが次第に修正され、ストレスが減って心の負担が軽くなっていきます。

まとめ


自動思考と現実のズレは認知のゆがみを引き起こし、日常生活において心に大きな負担がかかってしまう原因となります。余計なストレスを取り除いて心を楽にするためには、認知行動療法などの心理療法によって冷静で客観的な思考を取り戻すことが必要です。

横浜市港南区にあるカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”で行っているカウンセリングは、認知行動療法を主軸としています。信頼できるカウンセラーと共に自分の思考と向き合い、ひとつずつ時間をかけ整理・分析する経験を重ねていきます。自分の「なりたい姿」を目指し、心を楽にする方法を一緒に考えてみませんか。

自動思考とは何?認知行動療法で改善を目指す方法を解説
自動思考とは何?認知行動療法で改善を目指す方法を解説

2024/05/19

スキーマ療法とは?生きづらさを解消する治療のやり方を解説

心理療法のひとつとして「スキーマ療法」があります。思考の根底に存在しあらゆる物事を考える基礎となっている「スキーマ」に注目して、思考のズレや認知のゆがみを根本から修正していく心理療法です。

今回は、「スキーマ療法」について詳しく解説します。日常生活において強い不安や恐怖感、生きづらさを抱えている方が問題を解決するヒントになるので、ぜひ最後までご覧ください。

「スキーマ」とは?


そもそも「スキーマ」とは、自分の人生経験を積み重ねる過程で獲得していく「思考の枠組み」のことです。物事を考えるとき、無意識のうちにスキーマを利用しています。

たとえば、「ワンと鳴く四足歩行の動物」という情報だけで「犬」という答えをすぐに導き出すことができます。これは「犬=ワンと鳴く、四足歩行である」という常識が私たちの頭のなかでスキーマとして形成されており、限られた情報から答えを推測するために瞬時に利用しているのです。物事を考えるときは、テーマがどのようなものであってもスキーマの影響を受けます。

スキーマの偏り


スキーマは人生経験を通じて形成されるものなので、すべての人がまったく同じものを持っているとは限りません。ご自身の身を置く環境によっては、特殊な経験を重ねるうちにスキーマが偏ってしまい、一般的な感覚と大きくズレていってしまいます。

たとえば、学校や職場などで「自分は周りの人よりも劣っている」、「任された役目を果たせていない」と思ってしまう機会が極端に多かった人のなかには「自分=ダメな人間」という偏った自己スキーマが生まれることがあります。このスキーマの偏りが物事を考えるときの前提となるので、苦手なことだけでなく、得意なことや初めて挑戦することに関してもネガティブで悲観的な思考をしてしまうのです。

スキーマの偏りが「自動思考のズレ」を生む


「自動思考」とは、目の前の物事や出来事に対して瞬間的に引き出される考えやイメージのことをいいます。たとえば、初対面の人と初めて挨拶を交わしたときに浮かぶ「明るくて優しそう」あるいは「静かで真面目そう」というような印象のことです。

自動思考はスキーマの影響を大きく受けるので、スキーマが偏っているとそこから導き出される自動思考も現実からズレたものになってしまいます。思考の根本に「自分=ダメな人間」という自己スキーマが存在すると、「真面目そう」という印象が「厳しそう、ダメな自分は嫌われるかも」というところまで飛躍し、余計な不安感が生まれて心に負担がかかります。

このようなスキーマの偏りを修正して冷静な思考を取り戻すとともに、不安定な状態にある心を立て直すことを目指すのが「スキーマ療法」です。

思考の根本にはたらきかけるスキーマ療法


スキーマ療法とは、すべての思考の根本にあるスキーマの偏りに焦点を当てた治療法です。自らのパーソナリティ(性格)に関する大きな葛藤があったり、職場など特定の環境下ではなくさらに大きな規模感での生きづらさを強く感じていたりなど、重大な課題を抱えている場合に多く用いられます。

人によって少しずつ形が異なっているスキーマは、独特の個性・価値観ともいえます。「これが正しい」という形は存在しませんが、大きな偏りがあると周囲の人や世間とのズレが生じて違和感や疎外感を覚えてしまうものです。スキーマの偏りがストレスや心の負担につながっている場合に、スキーマ療法によって心の立て直しを目指します。

認知行動療法との違い


スキーマ療法に似た心理療法に、「認知行動療法」というものがあります。認知行動療法は、物事に対して思考がネガティブになってしまったり、強い不安や恐怖を感じてしまったりする方が「認知のゆがみ」を修正し、冷静で客観的な思考を取り戻して問題の解決を目指す治療法です。多くの場合、「電車に乗ること」や「大勢の人がいる場所で過ごすこと」、「人前に立ってプレゼンをすること」など目の前にある特定の問題に対処します。

対するスキーマ療法は、より大きな規模感での葛藤や不安、生きづらさといった問題を抱えている方に対して用いることが多い治療法です。目の前にある問題だけでなく、心の深いところに潜んでいる根本的な原因に目を向けています。

スキーマ療法のやり方


認知行動療法をはじめとした他の心理療法を試しても改善の兆しが見えない、そもそも生きづらさの原因が何なのか自分でもわからないという場合などに、思考のもっとも深い部分に向き合うスキーマ療法を取り入れます。
一般的にスキーマ療法がどのように進められるのか見ていきましょう。

①認知行動療法やマインドフルネスによって自己理解を深める


スキーマ療法では、幼い頃からの自分の人生を振り返って過去のつらい経験・傷ついた経験を扱います。そのための準備として、認知行動療法やマインドフルネスによって自分の感情を整理し「自分が傷ついている」ということを理解するステップが必要です。

まずは現在進行形で日常生活に支障をきたしている諸症状の解消や、問題の解決に取り組みながら、カウンセラーと一緒に信頼関係を築き上げていきます。

②生きづらさの原因である「早期不適応スキーマ」を見つける


スキーマ療法は、自分の幼少期からの人生を振り返り、現在感じている生きづらさの原因となっている「早期不適応スキーマ」を見つけることからはじまります。早期不適応スキーマとは、思考のズレ・認知のゆがみにつながる偏ったスキーマのことです。以下の5つの中核的感情欲求が幼少期に満たされなかった経験から形成されます。

<中核的感情欲求(内なる子どものニーズ) >
・愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい
・有能な人間になりたい、いろいろなことが上手くできるようになりたい
・自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意志を大切にしたい
・自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい
・自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい

早期不適応スキーマには「見捨てられ/不安スキーマ」、「不信/自虐スキーマ」など18種類があります。そのなかでも特に強く、日常生活に支障をきたしているものを見つけることが第2のステップです。

③早期不適応スキーマを手放す


カウンセラーとともにかつて満たされなかった感情欲求を満たしながら、自分のなかにある早期不適応スキーマをひとつずつ手放していきます。心の奥深くに残っている傷を癒し、心の安定のために欠かせない土台を1からつくることがスキーマ療法の目的です。

まとめ


「スキーマ療法」は、認知行動療法やマインドフルネスといった心理療法の次の段階として、自分の思考の根本に向き合う心理療法です。認知行動療法では対応しきれない深い問題を抱えている方や、漠然としていながらも深刻な生きづらさを抱えている方に用いられます。
横浜市港南区のカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法を主軸にしたカウンセリングを行っており、改善が見られなかった方の次のステップとしてスキーマ療法にも対応しています。日常生活における不安や恐怖はひとりで抱え込む必要はありません。ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

スキーマ療法とは?生きづらさを解消する治療のやり方を解説
スキーマ療法とは?生きづらさを解消する治療のやり方を解説

2024/05/12

ストレス軽減方法10選!カウンセリングによる対処法も解説

仕事や学業、家庭など、日常生活を送るうえでストレスはつきものです。心と身体に悪影響をおよぼす可能性があるからこそ、ストレスとは上手に付き合っていく必要があります。

そこで今回は、ストレス軽減に役立つ方法を10個ピックアップしました。カウンセリングによる対処法として「認知行動療法」についてもご紹介します。ストレスが溜まっていると感じている方は、ぜひ参考にしてください。

ストレスが心身におよぼす悪影響とは


日々の暮らしのなかで受けたストレスを溜め込むと、心と身体には以下のような症状があらわれやすくなります。

【ストレスが心身におよぼす悪影響】
心にあらわれる症状 ・憂うつになる
・イライラしやすい
・興味が薄れる  など
身体にあらわれる症状 ・食欲がわかない
・寝つきが悪い
・頭痛や腰痛、肩こり  など

心身に症状があらわれたときには無理をしないことが大切です。ストレスを溜め込まないうちに、対策を講じていきましょう。

ストレス軽減方法10選


今回、ストレスを軽減する方法としてご紹介するのは、以下の10個です。

<ストレス軽減方法>
1.ストレッチをする
2.十分な睡眠をとる
3.適度に運動する
4.甘いものを食べる
5.趣味を楽しむ
6.涙を流す
7.会話を楽しむ
8.一人になる
9.入浴する
10.大声を出す

どの方法も気軽に取り組めるものばかりです。自分に合うストレス軽減方法を見つけて、試してみましょう。

1.ストレッチをする


ストレスが溜まり、身体のこりを感じているときはストレッチが有効です。同じ姿勢を長時間続けると、筋肉が緊張状態になりストレスを感じやすくなります。身体を伸ばしたり、肩や腕を動かしたりして筋肉をほぐしましょう。

ストレッチは立ち上がった状態でも、座ったままでも効果的です。身体に痛みを感じたらストレッチを止め、無理をせず気持ちの良い程度にしましょう。

2.十分な睡眠をとる


しっかりと睡眠をとることも、ストレス軽減には有効です。適切な睡眠時間を確保することでストレスはもちろんのこと、脳の疲労も解消できます。睡眠不足によって脳が疲れたままでいると、自律神経やホルモンバランスも崩れがちです。身体に疲れが溜まるとストレスへの耐性も弱くなるため、睡眠は適切にとるようにしましょう。

3.適度に運動する


ストレスを軽減したいときは、軽い運動を習慣づけるのもひとつの手です。同じような動作を繰り返すリズム運動なら、イライラ解消に効果がある神経伝達物質「セロトニン」を活性化できます。手軽にできるランニングやダンス、ウォーキングなどがおすすめです。

ストレスを緩和する働きをもつ有酸素運動を日課にするのも良いでしょう。普段よりも息が上がる程度の運動量が望ましいです。

4.甘いものを食べる


ストレスが蓄積されているときは、甘いものを適量食べることで精神的な負担が軽くなります。甘いものを摂取すると体内でセロトニンが合成され、結果的にストレスの軽減につながると考えられています。

ただし、甘いものを口にするときはカロリー過多にならないよう、目安として多くても200キロカロリーまでに抑えるようにしてください。

5.趣味を楽しむ


趣味に取り組む時間は、ストレスを忘れさせてくれる大切な時間です。オフの時間を設けることで仕事への意欲が高まり、作業効率もアップします。読書やショッピング、ゲーム、料理など、好きなことに没頭する時間を定期的に確保するようにしましょう。

6.涙を流す


蓄積されたストレスは、思いっきり涙を流して発散してみましょう。涙を流すと、副交感神経の働きが優位になり気分が落ち着きます。泣かずにいるのもストレスにつながるため、泣きたくなったら我慢せずに涙を流してください。

泣くときは感情に任せてみるのも良いですが、泣ける映画や小説、音楽に触れるのもおすすめです。ときには作品に没入して、思う存分泣いてみてはいかがでしょうか。

7.会話を楽しむ


友人や家族など、身近な人と話すと心が軽くなり、ストレス軽減につながることがあります。辛いことや不安な気持ちを言葉にして、話を聞いてもらうのも良いでしょう。相談してアドバイスをもらうことも有効です。何気ない会話を楽しむのもストレスの緩和に効果があります。

8.一人になる


一人で過ごすことが好きであれば、一人の時間を大切にするのも良いでしょう。気兼ねなく好きなことや趣味を楽しめるので、ストレス対策にうってつけです。誰とも顔を合わせたくないときは、一人でゆったりと気の向くままに過ごしてみてください。

9.入浴する


気軽にストレスを軽減するには、シャワーだけでなく湯船に浸かることが大切です。入浴すると、緊張状態にあった身体が浮力によって適度にほぐれ、心身ともにリラックスできます。入浴剤などを入れれば、アロマの香りでリラックス効果も高まります。血行促進による疲労回復効果もあるため、ストレスが溜まっているときにふさわしい対処法です。

10.大声を出す


大きな声を出すと脳が刺激を受け、心身ともにリフレッシュできます。日常生活で大声を出す機会はなかなかありませんが、カラオケに行って好きな曲を歌う、スポーツ観戦で思いっきり応援する、アーティストのライブに行くなど、大声を出せる状況を設けてみると良いかもしれません。

認知行動療法もストレス軽減に効果的


ご紹介した方法のほかにもうひとつ、「認知行動療法」もストレス軽減に効果があります。認知行動療法とは極端な考え方、つまり認知のゆがみを改善して心に蓄積されたストレスを軽減する心理療法のことです。

ストレスが心に蓄積してしまうと、将来のことや自分自身、周囲に対してネガティブな考え方をしてしまいがちです。「何をやってもダメな人間だ」「どうせ上手くいかないだろう」といった感情が浮かぶこともあるでしょう。ネガティブな思考は行動にも影響をおよぼし、消極的になったことでさらに気分が落ち込み、ストレスが蓄積される負の連鎖に陥りやすくなります。

認知行動療法では、ネガティブになってしまった考え方の癖をほぐし、捉え方を柔軟にすることでストレスの軽減をはかります。負の連鎖を断ち切り、新たなストレスの蓄積を防ぐ効果も期待できるのです。新たなストレスに負けないよう、心を強くしたいときにも有効な手段といえます。

認知行動療法の流れ


認知行動療法では基本的に1回あたり30分、合計16~20回のカウンセリングをおこないます。回数は目安であり、状態に応じて変更することもあります。

<認知行動療法の流れ>
1.対人関係や仕事など、抱えているストレスが何なのか確認し、問題を整理する
2.問題が発生する状況と、問題が発生した後の感情を調べる
3.自動思考が感情や行動に与える影響を調べる
4.自動思考の癖の特徴に気づく
5.自動思考の特徴が現実とズレていることを認識し、物事の考え方・捉え方を自由かつ現実的な方向へと変えていく
6.考え方や捉え方に変化があらわれたら、問題解決手段や人間関係を改善する方法も練習する

「自動思考」とは、物事や出来事に対して瞬間的に思い浮かべるイメージや考え方のことです。心の動きや行動に影響を与えるため、認知行動療法では自動思考に働きかけをおこない、ストレスに対応できる心を育てます 。
また、認知行動療法ではカウンセリングの間に課題が出されます。内容は、直前のカウンセリングで話し合った内容に関するものです。無理なくおこなえる課題なので安心して取り組めるでしょう。

まとめ


ストレスを軽減するにはストレッチや運動・睡眠などのほか、認知行動療法を用いたカウンセリングも効果的です。ネガティブな考え方や捉え方の癖を修正し、柔軟かつ現実的なものへと変えることで、ストレスを軽減できる心が育ちます。
横浜市にある「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法を用いたカウンセリングで、心をストレスに対応できる状態へと導きます。現代社会におけるストレスにお悩みの方、この機会にカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

ストレス軽減方法10選!カウンセリングによる対処法も解説
ストレス軽減方法10選!カウンセリングによる対処法も解説

2024/05/12

認知行動療法の効果とは?治療期間や効果が出やすい病気も解説

近年、心の病を改善する方法のひとつとして認知行動療法が注目を浴びつつあります。ストレスに負けない心の健康のために役立つなどの特徴がありますが、詳しい効果までは広く知られていないのが実情です。

そこで今回は、認知行動療法がもたらす効果はどのようなものがあるのか解説します。心の病に悩んでいる方、認知行動療法に興味がある方はぜひご覧ください。

認知行動療法とは
認知行動療法とは、物事に対する感じ方や捉え方に働きかけ、ストレスによる心の負担を和らげる心理療法のことです。この物事に対する感じ方や捉え方のことを「認知」と呼びます。

認知は感情や行動とのつながりが深く、気持ちの変化や活動の内容などに影響を与える ものです。もし認知にゆがみが生じ、物事を極端に捉えるようになると、些細なことに対してもストレスが蓄積されていきます。やがて感情や行動にも悪影響をおよぼしはじめ、心の病を発症してしまう恐れもあります。

認知行動療法は、精神的なストレスの原因と考えられる認知のゆがみを排除し、整えることが目的です。認知のゆがみをなすことで、現実的かつ柔軟な物事の捉え方あるいは考え方ができるようになります 。

認知行動療法の方法
認知行動療法は、カウンセラーまたは医師との面談 を通じて受けられます。主な治療の流れの一例をまとめました。

<認知行動療法の手順>
1.抱えている問題点や悩みなどを確認
2.症状の原因や治療目標などを話し合い、治療を開始
3.治療期間中における行動や感情の記録を検証し、認知のゆがみを修正
4.症状の改善、再発予防に向けたカウンセリング

認知行動療法は、基本的に1回の面談あたり30分以上を要します。これを状態に合わせて合計16~20回おこないます。認知行動療法を終えるまでの期間は、おおよそ3ヶ月 と比較的長めであるのが特徴です。

認知行動療法に期待される効果


認知行動療法に期待される効果は、主に以下の6つが考えられます。

<認知行動療法に期待される効果>
1.薬による治療以上の効果が出ることがある
2.マイナス思考からポジティブ思考になる
3. ストレスを軽減する
4.精神疾患の改善が期待される
5.精神疾患が再発する可能性を抑える
6.副作用のリスクが低い

精神疾患の再発や副作用のリスクを下げるなど、認知行動療法はさまざまな効果が見込めます。

効果1.薬による治療以上の効果が出ることがある
精神疾患の治療において、認知行動療法は、薬物治療を用いた治療よりも高い効果が出るケースがあります。また、薬物治療と認知行動療法の併用により、効果がさらに高まるとの結果も出ているのです。

効果2.マイナス思考からポジティブ思考になる
物事に対してポジティブなイメージを持てるようになる点も、認知行動療法を通じて得られる効果のひとつです。認知行動療法には、極端なマイナス思考を修正する働きがあるためです。

認知にゆがみが生じている状態は考え方が後ろ向きになりやすく、対人関係や仕事などの些細な出来事でも気分が落ちしてしまいます。認知行動療法を通して認知のゆがみを整えることで、思考の癖が前向きに変化し、物事をポジティブに捉えられるようになります。それにともない、感情の動きや行動も前向きになるのです。

効果3.ストレスを軽減する
認知行動療法を継続することで、ストレスが軽減でき、心の負担も軽くなります。面談では自身のネガティブな思考と向き合い、認知のゆがみを修正するため、次第に日常生活のストレスにも対処できるようになります。日々の暮らしのなかで疲弊しない、心の強さを身につけられるでしょう。

効果4.精神疾患の改善が期待される
認知行動療法は、うつ病をはじめとした精神疾患の改善に効果があるとされています。
<認知行動療法での改善が期待される精神疾患>
・うつ病
・パニック障害
・強迫性障害
・統合失調症
・パーソナリティ障害
・摂食障害 など

うつ病などの精神疾患は、物事を極端にマイナスな方向に考える傾向があるのが特徴です。認知行動療法で気持ちや行動をポジティブな方向へと変化させることで、精神疾患を引き起こす原因および症状自体の改善が見込めます。

また、最近では高血圧症や糖尿病などの身体疾患や不眠に対しても、認知行動療法が活用されています。

効果5.精神疾患が再発する可能性を抑える
認知行動療法を受ける効果として、精神疾患の再発防止につながる点も見逃せません。うつ病やパニック障害など、再発のリスクが高い精神疾患については、薬物治療をおこなった場合よりも再発率が低い です。

認知行動療法を受けると物事の考え方や捉え方自体を変えられるため、精神疾患の原因を根本から改善することにつながります。治療終了後もストレスに向き合う力が身についているので、再び精神的な不調を抱える可能性を抑えられるのです。

効果6.副作用のリスクが低い
認知行動療法は思考に働きかけ、考え方および捉え方を修正するので、副作用はほとんどありません。症状を選ばずに幅広く治療ができるため、精神療法としては比較的、安心して受けられる治療法です。

認知行動療法の効果に関する疑問
認知行動療法の効果について、気になりやすいポイントをまとめました。

<認知行動療法の効果に関する疑問>
・認知行動療法の効果が出る期間はどのくらい?
・認知行動療法はセルフでも効果を実感できる?

各項目についてみていきましょう。

認知行動療法の効果が出る期間はどのくらい?
認知行動療法を受ける期間は、基本的には3ヶ月ほどと長めです。ただし、効果が薄い、または症状や環境などの状況次第では年単位での治療が必要になることもあります。

認知行動療法はセルフでも効果を実感できる?
認知行動療法は、自分だけで取り組むセルフ方式でも効果が期待できます。ただし、認知行動療法は認知のゆがみを解消すべくネガティブな感情と向き合うため、精神状態が良くないときにおこなうのはリスクが高いです。セルフ方式を試す前に、必ず医師やカウンセラーに相談しましょう。

認知行動療法の効果が出やすい方・出にくい方の特徴
認知行動療法には、効果が出やすい方と出にくい方がいます。それぞれの特徴に当てはまるからといって必ずしも効果がある・ないと言い切れるわけではありませんが、念のため頭に入れておきましょう。

認知行動療法の効果が出やすい方
認知行動療法による効果が出やすいのは、治療に意欲的な方です。認知行動療法は自分自身と向き合うことが重要であるため、変化を恐れずチャレンジできる方のほうが効果を実感しやすいでしょう。好奇心が旺盛な方も、認知行動療法に向いていると考えられます。
認知行動療法の効果が出にくい方
認知行動療法による効果が出にくいのは、治療に消極的な方です。認知行動療法は本人が日常生活を送るなかで課題に取り組み、自分自身で考え方を変えていかなければなりません。医師あるいはカウンセラーに100%頼ろうとする、受け身姿勢の方には適さないでしょう。

また、辛い経験や不安を感じた体験と向き合える状態ではない方も、認知行動療法の効果は出にくいです。認知行動療法を受けるには過去を振り返る必要があり、気持ちや体調・環境が不安定なときは冷静に向き合うのは難しいです。意欲があったとしても、精神状態が落ち着いていない場合は、認知行動療法はおすすめできません。

まとめ
認知行動療法は、思考を前向きに変えることやストレスの軽減に効果的とされています。さまざまな精神疾患が改善できるほか、副作用もほとんどみられないため安心して受けやすい治療法です。治療に意欲的な方は効果が出やすい一方、受け身タイプの方や精神状態が不安定な方は効果を実感しにくいです。

「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法を用いてクライエント様のお悩みにアプローチし、ストレスに対応できる精神状態を遺書につくっていきます。横浜周辺にお住いの方は、ぜひ「キミィ・メンタル・サプリ」へお気軽にお越しください。

認知行動療法の効果とは?治療期間や効果が出やすい病気も解説
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