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2024/09/29

共働きでの子育てがしんどい原因とは?育児と仕事の両立のヒントについて解説

共働きでの子育てがしんどい・辛い・大変と感じてしまうことに、お悩みの方も多いでしょう。子育てと仕事を両立させるためには、パートナー間での連携と協力の体制が欠かせません。

今回は、共働きでの子育てがしんどいと感じてしまう原因や、辛い気持ちを放置することで生まれる問題、辛い心を楽にするための対処法について解説します。

共働きでの子育てを「しんどい」と感じる原因


共働きでの子育てを「しんどい」と感じてしまう原因は、さまざまなものがあります。辛い気持ちを解消するために、その根本にある問題は何なのか考えてみましょう。

時間的な余裕がない


共働きで子育てをする場合の一番の課題は、時間的な余裕のなさではないでしょうか。わが子とゆっくり過ごす時間を確保することも難しいような状況で、子育てを楽しめず、しんどい・辛い・大変という気持ちばかりが積み重なってしまうケースは少なくありません。

子育てが仕事に支障をきたしてストレスを感じる


子どもを抱えながら、そうではない方と同じように日々の仕事をこなすのは、非常に難しいことです。保育園のお迎えの時間に間に合わせるために残業ができない、子どもが体調を崩した日は突然休まざるを得ないなどの縛りも多いです。「思い通りに仕事を進められない」「職場に迷惑をかけてしまう」という罪悪感から、ストレスが生じることがあります。

パートナーとのコミュニケーションが減ってしまう


お互いが仕事と子育てで手一杯な日々を送り、パートナーとのコミュニケーションが減るのも、共働き家庭によくある問題です。会話を交わす機会がなくなって孤独感が生まれるだけでなく、気持ちのすれ違いを起こしてしまうこともあるかもしれません。

辛い気持ちを抱えたまま過ごすことで生じる問題


共働きでの子育てがしんどい、辛いと感じる状態を放置してしまうと、親や子どもの心身の健康にも影響するさまざまな問題につながります。

パートナーとの関係性が崩れてしまう


一方が子育てに非協力的であったり、育児に関する価値観が合わなかったりする状態が続くと、次第にパートナーに対する不信感が生まれて、関係性が崩れてしまいます。その状態がさらに進行すると離婚の危機に陥り、子どもに精神的な負担をかけてしまうことにもなりかねません。

育児うつなどの重大な病気を引き起こす


子育ては、心身に大きな負担がかかるものです。それを仕事と並行して行うとなれば、なおさら多方面からのストレスや疲労が蓄積していき、育児うつなどの重大な病気を引き起こしてしまう危険があります。

共働きでの子育てが大変な時期


共働きでの子育てが特に大変なのは、乳児期の0歳から、小学校低学年にあたる8歳くらいまでといえるでしょう。この期間は、1人だけに育児や家事の負担がかかる、ワンオペ育児を避ける心がけが非常に重要です。

仕事のスケジュールや家事分担に関してよく話し合い、身体的・精神的な負担を2人で分け合うことを意識してみてください。忙しい中でも、片方だけではなく、両親がしっかりと子どもとコミュニケーションをとる時間を作ることも大切です。

共働きの子育ての負担を減らすための対処法


日々の子育ての負担を減らし、辛い状況の改善につなげていくための対処法をご紹介します。

身近な知り合いや子育て支援サービスを頼る


無理をして両親だけで子育てを行おうとするのではなく、必要なときは身近な親族や友人、子育て支援サービスなどを頼りましょう。しんどい・辛い気持ちが大きくなってしまったときは、子どもを一時的に預けて休息に専念し、心身の調子を整えることが大切です。

パートナーとの連携を深める


パートナー同士で協力し合うことが非常に重要です。育児・家事の分担についてよく話し合うほか、日頃のコミュニケーションも兼ねて、子育て中に気づいたことや仕事の状況に関する情報共有を行うなどして、連携を深めましょう。

カウンセリングによるメンタルケアを行う


精神的な不調を強く感じている方には、プロのカウンセリングによるメンタルケアが適しています。

子育てと仕事の両立がうまくいかず「自分はダメな人間だ」という考えに陥ってしまっている方には、自分の認知の歪みに気づき、現状を客観的に見つめ直すことで心の負担をやわらげる、認知行動療法が有効です。それよりもさらに深い、根本的な思考の枠組み(スキーマ)に歪みがあって、辛い気持ちが生まれている場合は、スキーマ療法によって思考のずれの修正を目指します。

まとめ


共働きでの子育ては、何よりも時間的な余裕がないことから疲れが溜まり、精神的に追い詰められてしまうケースがあります。ワンオペ育児の状況を避けることを強く意識して、日頃からパートナーとコミュニケーションをとり、協力しながら子どもに向き合いましょう。
横浜市港南区にある女性限定カウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法をメインとしたカウンセリングを行っています。子育てと仕事に追われて忙しく過ごしている方こそ、思い切って心を休める時間を作ることが大切です。ガス抜きをするような気持ちで、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

共働きでの子育てがしんどい原因とは?育児と仕事の両立のヒントについて解説
共働きでの子育てがしんどい原因とは?育児と仕事の両立のヒントについて解説

2024/09/22

子どもにイライラしてしまう…。こんな自分が嫌だ!育児ストレスを解消する方法とは?

子育て中に、かわいいはずのわが子にどうしてもイライラしてしまう…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。マイナスな気持ちになるのは、決して悪いことではありません。そんな自分の気持ちに気づき、その都度適切なケアを行うことが大切です。

今回は、子どもに対してイライラしてしまう原因や、育児中のストレスを放置することで生まれる問題について解説します。

子どもにイライラしてしまう原因


日頃どれだけわが子に愛情を注いでいても、ふとした瞬間にイライラを感じてしまうことは誰しもあるものです。悩みを解消するために、まずはイライラの根本的な原因を考えてみましょう。

思い通りの子育てができない


子どもは、親の思い通りには動いてくれないものです。良かれと思ってしたことを嫌がられてしまったり、予想だにしていなかったトラブルが発生したりすることもあるでしょう。「理想的な子育て」に囚われすぎていると、イレギュラーに対して過剰なイライラが生まれてしまいます。

子育てに焦りや不安を感じている


同じ時期に生まれたほかの子にできていることができない、変わった行動をとるなどの様子の多くは、成長過程で生まれる個性のひとつといえます。わが子の周囲とは違う様子に焦りや不安を感じていると、些細なことにもイライラしてしまうでしょう。

親が心身の調子を崩している


育児中の親は、生活リズムの乱れやストレスなどが原因で、心身の調子を崩しやすいです。特に精神的な不調を起こしているときには、健康な状態なら気にならないことに対しても、イライラしてしまう傾向にあります。

育児のストレスを放置することで生まれる問題


育児中に感じたストレスを放置すると、親自身だけでなく、子どもの人生にも影響する大きなトラブルに発展してしまうことがあります。

子どもに必要以上にきつくあたってしまう


親が心身の不調を抱えたまま子育てを続けていると、些細なことで過剰に怒ったり、最悪の場合手をあげてしまったりするなど、トラブルを引き起こす危険性が高まります。親から抑圧されて愛情を感じにくい環境で育った子どもは、大人になってからも精神的に不安定な状態に陥りやすいです。

親の心身の重大な病気につながる


心身の不安定な状態が続くと、自力では治せない重大な病気につながってしまうこともあります。特に、うつ病などに代表される精神疾患は、一度発症すると完治が難しいため、無理をせず早い段階でケアを行うことが非常に重要です。

子どもへのイライラを静めるための対処法


子どもに対してイライラしてしまう状況が続く場合は、自分の体調や心の状態を見つめ直してみましょう。イライラを静めるための対処法をご紹介します。

子どもから離れて休息をとる


疲れが溜まっていると感じるときは、親族や友人、地域の福祉施設などを頼って、一時的に子どもを預かってもらい、ゆっくりと睡眠をとるなどして体調を整えましょう。子育て中はどうしても子ども優先の生活になりますが、自分の手で子どもを守るためにも、まずは親自身が健康であることが大切です。

完璧な子育てへのこだわりを捨てる


完璧な子育てにこだわりすぎると、子どもが思い通りに動いてくれない、周りの子どもよりも発達が遅い気がするといった不安・ストレスが生まれやすいです。子どもの成長過程の一つひとつを個性として受け入れ、理想とは違った結果になったことも、良い思い出と考えることを意識してみてください。

専門家のカウンセリングを受ける


少しの休息や心がけでは改善できないほど、心の不調が深刻であるときは、無理をせずに医師やカウンセラーなどの専門家を頼りましょう。

専門家によるカウンセリングでは、ストレスなどの影響で凝り固まってしまった認知を解きほぐす「認知行動療法」や、根本的な思考の歪みを修正する「スキーマ療法」を用います。イライラの原因を見つけ、自分の思考の不安定な状態を自覚することで、状況の改善を目指せます。

まとめ


子どもに対してイライラを感じるのは、育児中なら誰しもが経験することです。そんなときには、辛い気持ちを一人で抱え続けるのではなく、パートナーや親族、友人、専門家など、周囲の人を頼りながら適切な形でケアすることが大切です。
育児に関するお悩みをお持ちの方は、横浜市港南区の女性限定カウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」までお気軽にご相談ください。子どもには見せられないイライラや落ち込んだ気持ちを共有していただき、心を楽にしながら、心身ともに健康な状態でお子さまとの人生を歩むための方法を考えていきましょう。

子どもにイライラしてしまう…。こんな自分が嫌だ!育児ストレスを解消する方法とは?
子どもにイライラしてしまう…。こんな自分が嫌だ!育児ストレスを解消する方法とは?

2024/09/15

子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~

子育てをしながら「しんどい」と感じてしまうことにお悩みではありませんか?子どもは親の思い通りには動いてくれず、子育ては経験したことがない出来事の連続になります。ときにマイナスな気持ちが生まれてしまうのは、避けられないでしょう。

今回は、子育てがしんどいと感じてしまう方に向けて、辛い気持ちを解消・軽減する方法をご紹介します。

子育てを「しんどい」と感じる理由


子育てをするうえで「しんどい」と感じる機会は、誰にでもあるものです。辛い気持ちを軽くするために、まずはその原因について考えてみましょう。

不安やプレッシャーを抱えている


親である自分の言動が、1人の人間の人格・人生に大きな影響を与えると考えれば、子育てに不安やプレッシャーを感じるのも無理はないでしょう。緊張感や責任感は子育てにおいてプラスに働くこともありますが、強すぎると心の負担になってしまうため、注意が必要です。

完璧な育児を目指してしまう


初めての子育てと向き合っている方に特に多いのが、完璧な育児を目指して気疲れしてしまうケースです。さまざまな事柄において「こうであるべき」というこだわりが強すぎると、それを実現しきれないことにストレスを感じたり、自分を責めて自己嫌悪に陥ったりします。

ワンオペ育児で頼れる相手がいない


パートナーが仕事だけで手一杯の暮らしをしていたり、頼れる親族や友人が身近にいない環境であったりすると、1人だけで子育てを行う「ワンオペ育児」の状態に陥りやすいです。忙しさに加えて孤独感ものしかかる状況で、辛い気持ちが大きくなってしまうことは珍しくありません。

子育てが辛い気持ちをそのままにすると起こる問題


子育てが辛い気持ちをそのままにしていると、親自身はもちろんのこと、子どもの心身にも悪影響をおよぼしてしまう危険があります。

親の心身の不調につながる


子育て中に強いストレスを感じたり、十分な睡眠がとれない日々が続いたりすると、ホルモンバランスや自律神経の乱れが発生しやすいです。その結果、頭痛や吐き気、気分の落ち込みや無気力化など、心身のさまざまな不調を引き起こします。

子どもの心身にも負担がかかる


親が身体的・精神的な不調を抱えたまま子育てを続けると、自分の感情をコントロールできなくなり、突発的に子どもに当たってしまう危険があります。過剰に怒鳴りつけたり、叩く・殴るといった暴力に走ったりすると、子どもの心身に大きな負担がかかってしまいます。

子育てがしんどいと感じるときの対処法


子育てがしんどいと感じるときは、その状態を放置せず、辛い気持ちを解消・軽減することを目指すことが大切です。気持ちを楽にするための3つの対処法をご紹介します。

公的制度や支援サービスを頼る


無理に自分だけで子育てを行おうとはせずに、必要に応じて子育てに関する公的な制度や支援サービスを頼りましょう。給付金・助成金といった経済的なサポート、保育施設などによる生活面のサポートのほか、育児や日頃の悩みについて専門家に相談できる窓口も、多くの自治体で設けられています。

家族・友人に素直な気持ちを打ち明ける


家族や友人に直接的に育児を助けてもらうことが難しい場合は、電話やメッセージで話を聞いてもらったり、悩みを相談したりしてみてください。辛い気持ちを1人で抱え込まないことが大切です。

また、インターネットが発達した現代では、SNSなどを活用して、似た境遇の友人を探すことも容易になっています。現実世界の知り合いには話しづらい悩みも、名前や顔が見えない関係性の相手になら、打ち明けられるかもしれません。

専門家のカウンセリングを受ける


精神的な辛さが特に大きいと感じている方は、専門家のカウンセリングを受けて、不安定な心の状態の改善を目指しましょう。しんどい気持ちの原因にはたらきかける方法として「認知行動療法」や「スキーマ療法」があります。

子育てを通じて自己嫌悪に陥り、常に「私はダメな親だ」と考えるようになってしまったケースなどに有効なのが、認知行動療法です。自分がどんな状況でマイナスなことを考えてしまうのかを冷静に分析し、歪んでしまった認知に自分で気づくことで修正を目指します。

一方で、スキーマ療法は、認知行動療法で改善を目指す「認知」よりも、さらに奥深くに存在する思考の基盤である「スキーマ」にはたらきかけるものです。専門家とともにスキーマの偏り・歪みを見つけ、いわゆる一般的に近い状態に立て直すことを目指します。

まとめ


子育てがしんどいと感じることは、誰にでもあるものです。子どもに対して真剣に向き合っているからこそ、感じるものであるともいえるでしょう。そんなときは、辛い気持ちを抱え込んで自分を責めてしまうのではなく、専門家の手を借りながら、適切なケアを行うことが大切です。
横浜市港南区のカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法をメインとして、女性限定のカウンセリングを行っています。心の不調は一度引き起こすとくせになりやすく、自力での改善は難しいものです。ガス抜きをするような気持ちで、ぜひお気軽にご相談にお越しください。

子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~
子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~

2024/06/16

スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介

「スキーマ療法」は、人の思考のもっとも奥深くにある「スキーマ」に注目し、傷ついた心を土台から立て直すことを図る心理療法です。認知行動療法などのようにご自身で取り組むことは難しく、カウンセラーなどの専門家とともにじっくりと時間をかけて取り組んでいきます。

今回は、そもそもスキーマとは何か、スキーマ療法はどのようにして進められるのかを解説します。認知行動療法で思うような効果が得られていない方や、慢性的な不安感・生きづらさを抱えてお悩みの方はぜひ参考にしてください。

「スキーマ」とは?


スキーマ療法の進め方について解説する前に、そもそも「スキーマ」とはどのようなものなのか、確認しておきましょう。

スキーマとは、人の思考のもっとも奥深くに存在し、あらゆる物事を考えるときの基礎となっている「思考の枠組み」のことです。スキーマはそれぞれ個人の人生経験の積み重ねによって形成されていくため、少しずつ違ったものを持っています。

たとえば、目の前にりんごを置かれたとき、私たちはすぐに「これはりんごだ」と認識できるものです。この認識のように、物事に対して瞬間的に浮かぶ考え・イメージのことを「自動思考」と呼びます。「赤くて丸い果物だから、りんごだ」などとは考えずに目の前のものを「りんごだ」と認識できるのは、私たちの思考の根本に「赤くて丸い果物=りんご」というスキーマが形成されているためです。

目の前のものを「りんごだ」と認識するのと同時に、「好き、食べたい」あるいは「苦手、食べたくない」というようなイメージも浮かんできます。どちらかが間違っているわけではなく、人それぞれの個性のあらわれです。このように、スキーマおよび自動思考には人によって異なる傾向・癖があります。

思考の枠組みの偏りを整える「スキーマ療法」


スキーマは自動思考のもとになり、自動思考の傾向や癖は、物事の捉え方・受け止め方である「認知」を形づくります。つまり、思考の根本にあるスキーマに偏りがあると、そこから導き出される自動思考や認知にもズレ・ゆがみが生じてしまうのです。

スキーマは個人の人生経験の影響を受けて形成されており、その人の価値観・人生観ともいえるものなので、偏りを修正するのは容易ではありません。特に自分のスキーマを客観視することは非常に難しいため、修正を試みる際は医師やカウンセラーといった専門家に導いてもらいながら、自分のスキーマに向き合います。こうして取り組むのが「スキーマ療法」です。

認知行動療法との違い


「認知行動療法」は、自動思考に働きかけて心の負担を軽減することを目指す治療法です。自分の自動思考を整理・分析して現実との矛盾やズレを自覚し、別の捉え方を探すことによって、思考の幅を広げて冷静さと客観性を取り戻していきます。

日頃のストレスや不安の根本的な原因が「自動思考と現実のズレ」であれば、認知行動療法によって改善が見込めます。しかし、より奥深くにあるスキーマの偏りが自動思考のズレにつながっている場合は、通常の認知行動療法では思うような効果が得られないことが多いです。スキーマ療法は認知行動療法の次のステップであり、より根が深い問題を抱えている方に用いる手法といえます。

スキーマ療法の進め方


ここからは、カウンセラーとともにスキーマ療法に取り組む際の進め方をご紹介していきます。治療の具体的な内容を知り、イメージしてみてください。

認知行動療法やマインドフルネスを通じて自分に向き合う


スキーマ療法では、思考の根本に潜むスキーマの偏りを見つけるために過去のつらい経験や心の傷に向き合います。そのためには、はじめに認知行動療法やマインドフルネスといった心理療法に取り組んで「自分が傷ついている」ことを自覚することが必要です。

自分の思考を整理しながら、まずは目の前にある課題の解決、精神的・身体的諸症状の改善を目指すとともに、カウンセラーとの深い信頼関係を築いていきます。

生きづらさを生み出している「早期不適応スキーマ」を見つける


スキーマ療法の最初の一歩は、幼少期における「中核的感情欲求」の不足感から形成された「早期不適応スキーマ」を見つけることです。中核的感情欲求とは「内なる子どものニーズ」とも呼ばれ、誰しもが子どものときに抱く以下の5つの欲求のことです。

<中核的感情欲求(内なる子どものニーズ)>
・愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい
・有能な人間になりたい、いろいろなことが上手くできるようになりたい
・自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意志を大切にしたい
・自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい
・自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい

これらの欲求のいずれかが満たされなかった経験が、以下のような「早期不適応スキーマ」を形成します。

【18の早期不適応スキーマ】
満たされなかった感情欲求 形成される早期不適応スキーマ
愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい ・見捨てられ不安・不安定
・不信・虐待
・情緒的剥奪
・欠陥・恥
・社会的孤立・阻害
有能な人間になりたい、いろいろなことが上手くできるようになりたい ・依存・無能
・損害や疾病に対する脆弱性
・巻き込まれ・未熟な自己
・失敗
自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意志を大切にしたい ・服従
・自己犠牲
・評価と承認の希求
自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい ・否定・悲観
・感情抑制
・厳密な基準・過度な批判
・罰
自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい
・権利欲求・尊大
・自制と自立の欠如

早期不適応スキーマは多くの人が2~3つ程度持っているといわれていますが、その程度はさまざまです。特に強い癖や偏りを持って存在している場合には、自動思考や認知に悪影響を与えてしまいます。

早期不適応スキーマを手放す


自分の思考の根本にある早期不適応スキーマと、かつて満たされなかった感情欲求の種類がわかったら、それらをカウンセラーとともにひとつずつ満たして早期不適応スキーマを手放していきます。

過去のつらい経験をなかったことにはできませんが、傷ついたままになっている心を癒して楽にすることはできます。心を安定させ、明るく前向きに生きていくための土台を1からつくり上げていくことがスキーマ療法の目的です。

まとめ


スキーマ療法とは、思考のもっとも奥深くに存在するスキーマの偏りを修正することを目指す心理療法です。認知行動療法やマインドフルネスでは症状の改善が見られなかった場合の次のステップとして、カウンセラーなどの専門家とともにじっくりと時間をかけておこない、傷ついたまま不安定な状態になっている心を土台から立て直すことを目指します。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、認知行動療法を主軸にしたカウンセリングをおこなっています。なかなか改善が見られない患者さまの次のステップとしてスキーマ療法にも対応していますので、慢性的な不安感や生きづらさを抱えてお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。自分の「なりたい姿」になるためには何が必要なのか、一緒に読み解いていきましょう。

スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介
スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介

2024/06/09

あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介

人前で話そうとすると顔が真っ赤になってしまう、電話をかけるのが怖くて声が震える…このようなお悩みは、緊張しやすい性格ではなく「あがり症(社交不安障害)」という精神疾患によるものかもしれません。日常生活に支障をきたすほどの不安感とそれにともなう諸症状は、適切な治療によって改善が望めます。

今回は、あがり症(社交不安障害)の治し方について解説していきます。つらい気持ちはお一人で抱え込むのではなく、病院やカウンセリングルームを頼りましょう。

あがり症(社交不安障害)とは


「あがり症」とは、日常生活のなかで他人とコミュニケーションをとることや、人前で食事をとること・字を書くことなどに対して「注目される不安・恐怖」を強く感じ、そのような状況に反応してさまざまな身体症状があらわれる精神疾患のことです。不安障害のうちのひとつで、「社交不安障害」とも呼ばれます。

他人から注目される状況に緊張・不安を感じることは誰にでもある当然の反応です。しかし、自分が恥をかくことや悪く評価されること、他人に嫌われることなどを恐れるあまり学校や職場に行きづらくなってしまったり、外出することすら困難になってしまったりする場合は、あがり症(社交不安障害)と診断されます。

あがり症は精神疾患の一種


あがり症(社交不安障害)は、うつ病や強迫性障害、統合失調症などに並ぶ精神疾患の一種です。不安の症状が軽度・正常な範囲内である場合には「内気で心配性な性格」とみなされますが、症状が進行すると学校や職場などでの集団生活に強い苦痛を感じるようになります。

注目されることへの不安(社交不安)が大きなものになると、強い不安を感じる状況を避けようとする回避行動をともなう「非全般型の社交不安障害」を発症します。スピーチをする授業がある日に学校を休んだり、食事をしている姿を他人に見られたくないがために外食を控えたりなどの行動が見受けられるのです。

次第に日常生活自体を回避する「全般型の社交不安障害」に発展すると、社会生活が送れなくなってしまうため、あがり症(社交不安障害)の症状が見受けられたら早期に治療を始めることが大切です。

あがり症(社交不安障害)の症状の例


あがり症(社交不安障害)の症状は、精神的な不安感や恐怖感だけではありません。強い不安を感じる状況に反応し、以下のように多岐にわたる身体症状があらわれることもあります。

<あがり症(社交不安障害)の身体症状の例>
・赤面、のぼせ、身体のほてり
・吐き気、めまい
・腹痛、下痢
・強い動悸、息苦しさ
・手足や声の震え
・大量の発汗、口の渇き

「強い不安を感じる状況」は人によってさまざまですが、特に多いのは以下のようなものです。

<あがり症(社交不安障害)の症状があらわれる状況の例>
・人前に立って注目される(スピーチやプレゼンなど)
・人前で食事をとる、字を書く
・電話をかける、応答する
・雑談をする
・初対面の人と会う

あがり症(社交不安障害)を治すためには、服薬によって不安感・恐怖感を抑えたり、心理療法によって不安を感じる原因を取り除いたりすることが必要です。

あがり症(社交不安障害)の治し方


あがり症(社交不安障害)の主な治し方は、薬物療法と心理療法の2種類です。どちらかのみを取り入れるケースと、両方を並行して進めていくケースがあります。

薬物療法


あがり症(社交不安障害)に対しては、精神を安定させる効果があるセロトニンを増やし、脳内の神経伝達物質を調整する「SSRI」という薬や、症状によって異なるさまざまな身体症状を抑える薬、抗不安薬などが有効です。

あがり症(社交不安障害)は、同じ病気の診断を受けていても症状の内容が人それぞれ異なります。効果的な治療を受けるためには、診察やカウンセリング時にどのような状況に対してどういった症状が出て、どのように困っているのかを詳しく正確に伝えることが大切です。

心理療法(認知行動療法)


あがり症(社交不安障害)は、物事の捉え方・受け止め方である「認知のゆがみ」や、物事に対して瞬間的に浮かぶ考え・イメージである「自動思考」と現実のズレに原因があるケースが多いです。自分の心に向き合う心理療法によって病気の原因を取り除き、心を楽にすることができます。

あがり症(社交不安障害)の治療に有効な心理療法は、「認知行動療法」です。数ヶ月~年単位の時間をかけて、医師やカウンセラーとともに面談を重ねて認知のゆがみや自動思考のズレを修正していきます。ご自身でおこなうセルフケアにも取り組むことが可能です。

あがり症(社交不安障害)を克服するための「認知行動療法」


「認知行動療法」とは、人の認知と行動に働きかけて心を楽にする心理療法です。カウンセラーなどの専門家とともに取り組む場合、一般的には1回30~50分程度のセッションを10回以上おこないます。

あがり症(社交不安障害)の治療の結果、社交不安の症状が完全になくなる方は2割程度です。大半の方は、社会参加を妨げない程度の軽い症状とは付き合い続けることになります。病気の背景には認知のゆがみが存在していることが多く、このゆがみを完全に修正することは難しいと考えられているためです。

認知行動療法では、過剰な不安やストレスを生み出している認知を正常の範囲内に修正することを目指します。病気の根本的な原因を完全に排除することは難しかったとしても、心にかかる負担を軽くすることは十分可能です。

コラム法(認知再構成法)で自分の思考に向き合う


あがり症の治し方として用いられる、認知行動療法の代表的な手法に「コラム法(認知再構成法)」があります。不安や恐怖、怒り、悲しみといった感情が湧いたとき、自分の思考をメモに書き出して整理・分析するというものです。

3コラム法・5コラム法・7コラム法があり、それぞれに用いるメモの項目は以下のとおりです。

〈コラム法(認知再構成法)の種類・項目〉
書き出す項目
3コラム法 ・物事(どのような事実に対して)
・感情(どう思ったのか)
・考え(なぜそう捉えたのか)
5コラム法 3コラム法の項目に加えて
・他の考え(別の捉え方はできないか)
・他の考えに対する感情(捉え方が変わると感情はどう変化するか)
7コラム法 5コラム法の項目に加えて
・根拠(最初の考えが生まれた理由)
・反証(他の考えにつなげる別の可能性)

まずは3つの項目に沿って思考をありのままに書き出すことから始め、慣れてきたら7つ、あるいは簡単に5つの項目に沿って「別の捉え方はできないか、捉え方を変えたら感情をどう変化させられるか」をじっくり考えていきましょう。メモを重ねるうちに自分の思考と現実の矛盾やズレに気づき、冷静で客観的な考え方ができるようになっていきます。

コラム法は、ご自身でも手軽に取り組める認知行動療法のひとつです。強い感情に襲われた瞬間に、あるいは後からそのときを振り返って、落ち着いて自分の思考に向き合う時間をつくってみてください。

まとめ


あがり症は、専門的には社交不安障害と呼ばれる精神疾患の一種です。日常生活に支障をきたすほどの強い不安感・恐怖感や、それにともなうさまざまな身体症状にお悩みの方は、適切な治療を受けることによって状況の改善を目指せます。あがり症の治し方のひとつとして用いられる心理療法は、認知行動療法です。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、認知行動療法を主軸にしたカウンセリングをおこなっています。人から注目される状況に異常なほどの不安を感じてしまったり、あらゆるものごとをネガティブに考えてしまったりするお悩みの方は、ぜひ、お気軽にご相談にお越しください。心の負担をやわらげ、明るく前向きに日々を過ごす方法を一緒に考えていきましょう。

あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介
あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介