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2024/09/15

子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~

子育てをしながら「しんどい」と感じてしまうことにお悩みではありませんか?子どもは親の思い通りには動いてくれず、子育ては経験したことがない出来事の連続になります。ときにマイナスな気持ちが生まれてしまうのは、避けられないでしょう。

今回は、子育てがしんどいと感じてしまう方に向けて、辛い気持ちを解消・軽減する方法をご紹介します。

子育てを「しんどい」と感じる理由


子育てをするうえで「しんどい」と感じる機会は、誰にでもあるものです。辛い気持ちを軽くするために、まずはその原因について考えてみましょう。

不安やプレッシャーを抱えている


親である自分の言動が、1人の人間の人格・人生に大きな影響を与えると考えれば、子育てに不安やプレッシャーを感じるのも無理はないでしょう。緊張感や責任感は子育てにおいてプラスに働くこともありますが、強すぎると心の負担になってしまうため、注意が必要です。

完璧な育児を目指してしまう


初めての子育てと向き合っている方に特に多いのが、完璧な育児を目指して気疲れしてしまうケースです。さまざまな事柄において「こうであるべき」というこだわりが強すぎると、それを実現しきれないことにストレスを感じたり、自分を責めて自己嫌悪に陥ったりします。

ワンオペ育児で頼れる相手がいない


パートナーが仕事だけで手一杯の暮らしをしていたり、頼れる親族や友人が身近にいない環境であったりすると、1人だけで子育てを行う「ワンオペ育児」の状態に陥りやすいです。忙しさに加えて孤独感ものしかかる状況で、辛い気持ちが大きくなってしまうことは珍しくありません。

子育てが辛い気持ちをそのままにすると起こる問題


子育てが辛い気持ちをそのままにしていると、親自身はもちろんのこと、子どもの心身にも悪影響をおよぼしてしまう危険があります。

親の心身の不調につながる


子育て中に強いストレスを感じたり、十分な睡眠がとれない日々が続いたりすると、ホルモンバランスや自律神経の乱れが発生しやすいです。その結果、頭痛や吐き気、気分の落ち込みや無気力化など、心身のさまざまな不調を引き起こします。

子どもの心身にも負担がかかる


親が身体的・精神的な不調を抱えたまま子育てを続けると、自分の感情をコントロールできなくなり、突発的に子どもに当たってしまう危険があります。過剰に怒鳴りつけたり、叩く・殴るといった暴力に走ったりすると、子どもの心身に大きな負担がかかってしまいます。

子育てがしんどいと感じるときの対処法


子育てがしんどいと感じるときは、その状態を放置せず、辛い気持ちを解消・軽減することを目指すことが大切です。気持ちを楽にするための3つの対処法をご紹介します。

公的制度や支援サービスを頼る


無理に自分だけで子育てを行おうとはせずに、必要に応じて子育てに関する公的な制度や支援サービスを頼りましょう。給付金・助成金といった経済的なサポート、保育施設などによる生活面のサポートのほか、育児や日頃の悩みについて専門家に相談できる窓口も、多くの自治体で設けられています。

家族・友人に素直な気持ちを打ち明ける


家族や友人に直接的に育児を助けてもらうことが難しい場合は、電話やメッセージで話を聞いてもらったり、悩みを相談したりしてみてください。辛い気持ちを1人で抱え込まないことが大切です。

また、インターネットが発達した現代では、SNSなどを活用して、似た境遇の友人を探すことも容易になっています。現実世界の知り合いには話しづらい悩みも、名前や顔が見えない関係性の相手になら、打ち明けられるかもしれません。

専門家のカウンセリングを受ける


精神的な辛さが特に大きいと感じている方は、専門家のカウンセリングを受けて、不安定な心の状態の改善を目指しましょう。しんどい気持ちの原因にはたらきかける方法として「認知行動療法」や「スキーマ療法」があります。

子育てを通じて自己嫌悪に陥り、常に「私はダメな親だ」と考えるようになってしまったケースなどに有効なのが、認知行動療法です。自分がどんな状況でマイナスなことを考えてしまうのかを冷静に分析し、歪んでしまった認知に自分で気づくことで修正を目指します。

一方で、スキーマ療法は、認知行動療法で改善を目指す「認知」よりも、さらに奥深くに存在する思考の基盤である「スキーマ」にはたらきかけるものです。専門家とともにスキーマの偏り・歪みを見つけ、いわゆる一般的に近い状態に立て直すことを目指します。

まとめ


子育てがしんどいと感じることは、誰にでもあるものです。子どもに対して真剣に向き合っているからこそ、感じるものであるともいえるでしょう。そんなときは、辛い気持ちを抱え込んで自分を責めてしまうのではなく、専門家の手を借りながら、適切なケアを行うことが大切です。
横浜市港南区のカウンセリングルーム「キミィ・メンタル・サプリ」では、認知行動療法をメインとして、女性限定のカウンセリングを行っています。心の不調は一度引き起こすとくせになりやすく、自力での改善は難しいものです。ガス抜きをするような気持ちで、ぜひお気軽にご相談にお越しください。

子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~
子育てがしんどい ~望んで産んだ子どもなのに想像以上に子育てが辛い~

2024/06/16

スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介

「スキーマ療法」は、人の思考のもっとも奥深くにある「スキーマ」に注目し、傷ついた心を土台から立て直すことを図る心理療法です。認知行動療法などのようにご自身で取り組むことは難しく、カウンセラーなどの専門家とともにじっくりと時間をかけて取り組んでいきます。

今回は、そもそもスキーマとは何か、スキーマ療法はどのようにして進められるのかを解説します。認知行動療法で思うような効果が得られていない方や、慢性的な不安感・生きづらさを抱えてお悩みの方はぜひ参考にしてください。

「スキーマ」とは?


スキーマ療法の進め方について解説する前に、そもそも「スキーマ」とはどのようなものなのか、確認しておきましょう。

スキーマとは、人の思考のもっとも奥深くに存在し、あらゆる物事を考えるときの基礎となっている「思考の枠組み」のことです。スキーマはそれぞれ個人の人生経験の積み重ねによって形成されていくため、少しずつ違ったものを持っています。

たとえば、目の前にりんごを置かれたとき、私たちはすぐに「これはりんごだ」と認識できるものです。この認識のように、物事に対して瞬間的に浮かぶ考え・イメージのことを「自動思考」と呼びます。「赤くて丸い果物だから、りんごだ」などとは考えずに目の前のものを「りんごだ」と認識できるのは、私たちの思考の根本に「赤くて丸い果物=りんご」というスキーマが形成されているためです。

目の前のものを「りんごだ」と認識するのと同時に、「好き、食べたい」あるいは「苦手、食べたくない」というようなイメージも浮かんできます。どちらかが間違っているわけではなく、人それぞれの個性のあらわれです。このように、スキーマおよび自動思考には人によって異なる傾向・癖があります。

思考の枠組みの偏りを整える「スキーマ療法」


スキーマは自動思考のもとになり、自動思考の傾向や癖は、物事の捉え方・受け止め方である「認知」を形づくります。つまり、思考の根本にあるスキーマに偏りがあると、そこから導き出される自動思考や認知にもズレ・ゆがみが生じてしまうのです。

スキーマは個人の人生経験の影響を受けて形成されており、その人の価値観・人生観ともいえるものなので、偏りを修正するのは容易ではありません。特に自分のスキーマを客観視することは非常に難しいため、修正を試みる際は医師やカウンセラーといった専門家に導いてもらいながら、自分のスキーマに向き合います。こうして取り組むのが「スキーマ療法」です。

認知行動療法との違い


「認知行動療法」は、自動思考に働きかけて心の負担を軽減することを目指す治療法です。自分の自動思考を整理・分析して現実との矛盾やズレを自覚し、別の捉え方を探すことによって、思考の幅を広げて冷静さと客観性を取り戻していきます。

日頃のストレスや不安の根本的な原因が「自動思考と現実のズレ」であれば、認知行動療法によって改善が見込めます。しかし、より奥深くにあるスキーマの偏りが自動思考のズレにつながっている場合は、通常の認知行動療法では思うような効果が得られないことが多いです。スキーマ療法は認知行動療法の次のステップであり、より根が深い問題を抱えている方に用いる手法といえます。

スキーマ療法の進め方


ここからは、カウンセラーとともにスキーマ療法に取り組む際の進め方をご紹介していきます。治療の具体的な内容を知り、イメージしてみてください。

認知行動療法やマインドフルネスを通じて自分に向き合う


スキーマ療法では、思考の根本に潜むスキーマの偏りを見つけるために過去のつらい経験や心の傷に向き合います。そのためには、はじめに認知行動療法やマインドフルネスといった心理療法に取り組んで「自分が傷ついている」ことを自覚することが必要です。

自分の思考を整理しながら、まずは目の前にある課題の解決、精神的・身体的諸症状の改善を目指すとともに、カウンセラーとの深い信頼関係を築いていきます。

生きづらさを生み出している「早期不適応スキーマ」を見つける


スキーマ療法の最初の一歩は、幼少期における「中核的感情欲求」の不足感から形成された「早期不適応スキーマ」を見つけることです。中核的感情欲求とは「内なる子どものニーズ」とも呼ばれ、誰しもが子どものときに抱く以下の5つの欲求のことです。

<中核的感情欲求(内なる子どものニーズ)>
・愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい
・有能な人間になりたい、いろいろなことが上手くできるようになりたい
・自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意志を大切にしたい
・自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい
・自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい

これらの欲求のいずれかが満たされなかった経験が、以下のような「早期不適応スキーマ」を形成します。

【18の早期不適応スキーマ】
満たされなかった感情欲求 形成される早期不適応スキーマ
愛してもらいたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい ・見捨てられ不安・不安定
・不信・虐待
・情緒的剥奪
・欠陥・恥
・社会的孤立・阻害
有能な人間になりたい、いろいろなことが上手くできるようになりたい ・依存・無能
・損害や疾病に対する脆弱性
・巻き込まれ・未熟な自己
・失敗
自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意志を大切にしたい ・服従
・自己犠牲
・評価と承認の希求
自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい ・否定・悲観
・感情抑制
・厳密な基準・過度な批判
・罰
自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい
・権利欲求・尊大
・自制と自立の欠如

早期不適応スキーマは多くの人が2~3つ程度持っているといわれていますが、その程度はさまざまです。特に強い癖や偏りを持って存在している場合には、自動思考や認知に悪影響を与えてしまいます。

早期不適応スキーマを手放す


自分の思考の根本にある早期不適応スキーマと、かつて満たされなかった感情欲求の種類がわかったら、それらをカウンセラーとともにひとつずつ満たして早期不適応スキーマを手放していきます。

過去のつらい経験をなかったことにはできませんが、傷ついたままになっている心を癒して楽にすることはできます。心を安定させ、明るく前向きに生きていくための土台を1からつくり上げていくことがスキーマ療法の目的です。

まとめ


スキーマ療法とは、思考のもっとも奥深くに存在するスキーマの偏りを修正することを目指す心理療法です。認知行動療法やマインドフルネスでは症状の改善が見られなかった場合の次のステップとして、カウンセラーなどの専門家とともにじっくりと時間をかけておこない、傷ついたまま不安定な状態になっている心を土台から立て直すことを目指します。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、認知行動療法を主軸にしたカウンセリングをおこなっています。なかなか改善が見られない患者さまの次のステップとしてスキーマ療法にも対応していますので、慢性的な不安感や生きづらさを抱えてお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。自分の「なりたい姿」になるためには何が必要なのか、一緒に読み解いていきましょう。

スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介
スキーマ療法って?治療の内容や進め方をご紹介

2024/06/09

あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介

人前で話そうとすると顔が真っ赤になってしまう、電話をかけるのが怖くて声が震える…このようなお悩みは、緊張しやすい性格ではなく「あがり症(社交不安障害)」という精神疾患によるものかもしれません。日常生活に支障をきたすほどの不安感とそれにともなう諸症状は、適切な治療によって改善が望めます。

今回は、あがり症(社交不安障害)の治し方について解説していきます。つらい気持ちはお一人で抱え込むのではなく、病院やカウンセリングルームを頼りましょう。

あがり症(社交不安障害)とは


「あがり症」とは、日常生活のなかで他人とコミュニケーションをとることや、人前で食事をとること・字を書くことなどに対して「注目される不安・恐怖」を強く感じ、そのような状況に反応してさまざまな身体症状があらわれる精神疾患のことです。不安障害のうちのひとつで、「社交不安障害」とも呼ばれます。

他人から注目される状況に緊張・不安を感じることは誰にでもある当然の反応です。しかし、自分が恥をかくことや悪く評価されること、他人に嫌われることなどを恐れるあまり学校や職場に行きづらくなってしまったり、外出することすら困難になってしまったりする場合は、あがり症(社交不安障害)と診断されます。

あがり症は精神疾患の一種


あがり症(社交不安障害)は、うつ病や強迫性障害、統合失調症などに並ぶ精神疾患の一種です。不安の症状が軽度・正常な範囲内である場合には「内気で心配性な性格」とみなされますが、症状が進行すると学校や職場などでの集団生活に強い苦痛を感じるようになります。

注目されることへの不安(社交不安)が大きなものになると、強い不安を感じる状況を避けようとする回避行動をともなう「非全般型の社交不安障害」を発症します。スピーチをする授業がある日に学校を休んだり、食事をしている姿を他人に見られたくないがために外食を控えたりなどの行動が見受けられるのです。

次第に日常生活自体を回避する「全般型の社交不安障害」に発展すると、社会生活が送れなくなってしまうため、あがり症(社交不安障害)の症状が見受けられたら早期に治療を始めることが大切です。

あがり症(社交不安障害)の症状の例


あがり症(社交不安障害)の症状は、精神的な不安感や恐怖感だけではありません。強い不安を感じる状況に反応し、以下のように多岐にわたる身体症状があらわれることもあります。

<あがり症(社交不安障害)の身体症状の例>
・赤面、のぼせ、身体のほてり
・吐き気、めまい
・腹痛、下痢
・強い動悸、息苦しさ
・手足や声の震え
・大量の発汗、口の渇き

「強い不安を感じる状況」は人によってさまざまですが、特に多いのは以下のようなものです。

<あがり症(社交不安障害)の症状があらわれる状況の例>
・人前に立って注目される(スピーチやプレゼンなど)
・人前で食事をとる、字を書く
・電話をかける、応答する
・雑談をする
・初対面の人と会う

あがり症(社交不安障害)を治すためには、服薬によって不安感・恐怖感を抑えたり、心理療法によって不安を感じる原因を取り除いたりすることが必要です。

あがり症(社交不安障害)の治し方


あがり症(社交不安障害)の主な治し方は、薬物療法と心理療法の2種類です。どちらかのみを取り入れるケースと、両方を並行して進めていくケースがあります。

薬物療法


あがり症(社交不安障害)に対しては、精神を安定させる効果があるセロトニンを増やし、脳内の神経伝達物質を調整する「SSRI」という薬や、症状によって異なるさまざまな身体症状を抑える薬、抗不安薬などが有効です。

あがり症(社交不安障害)は、同じ病気の診断を受けていても症状の内容が人それぞれ異なります。効果的な治療を受けるためには、診察やカウンセリング時にどのような状況に対してどういった症状が出て、どのように困っているのかを詳しく正確に伝えることが大切です。

心理療法(認知行動療法)


あがり症(社交不安障害)は、物事の捉え方・受け止め方である「認知のゆがみ」や、物事に対して瞬間的に浮かぶ考え・イメージである「自動思考」と現実のズレに原因があるケースが多いです。自分の心に向き合う心理療法によって病気の原因を取り除き、心を楽にすることができます。

あがり症(社交不安障害)の治療に有効な心理療法は、「認知行動療法」です。数ヶ月~年単位の時間をかけて、医師やカウンセラーとともに面談を重ねて認知のゆがみや自動思考のズレを修正していきます。ご自身でおこなうセルフケアにも取り組むことが可能です。

あがり症(社交不安障害)を克服するための「認知行動療法」


「認知行動療法」とは、人の認知と行動に働きかけて心を楽にする心理療法です。カウンセラーなどの専門家とともに取り組む場合、一般的には1回30~50分程度のセッションを10回以上おこないます。

あがり症(社交不安障害)の治療の結果、社交不安の症状が完全になくなる方は2割程度です。大半の方は、社会参加を妨げない程度の軽い症状とは付き合い続けることになります。病気の背景には認知のゆがみが存在していることが多く、このゆがみを完全に修正することは難しいと考えられているためです。

認知行動療法では、過剰な不安やストレスを生み出している認知を正常の範囲内に修正することを目指します。病気の根本的な原因を完全に排除することは難しかったとしても、心にかかる負担を軽くすることは十分可能です。

コラム法(認知再構成法)で自分の思考に向き合う


あがり症の治し方として用いられる、認知行動療法の代表的な手法に「コラム法(認知再構成法)」があります。不安や恐怖、怒り、悲しみといった感情が湧いたとき、自分の思考をメモに書き出して整理・分析するというものです。

3コラム法・5コラム法・7コラム法があり、それぞれに用いるメモの項目は以下のとおりです。

〈コラム法(認知再構成法)の種類・項目〉
書き出す項目
3コラム法 ・物事(どのような事実に対して)
・感情(どう思ったのか)
・考え(なぜそう捉えたのか)
5コラム法 3コラム法の項目に加えて
・他の考え(別の捉え方はできないか)
・他の考えに対する感情(捉え方が変わると感情はどう変化するか)
7コラム法 5コラム法の項目に加えて
・根拠(最初の考えが生まれた理由)
・反証(他の考えにつなげる別の可能性)

まずは3つの項目に沿って思考をありのままに書き出すことから始め、慣れてきたら7つ、あるいは簡単に5つの項目に沿って「別の捉え方はできないか、捉え方を変えたら感情をどう変化させられるか」をじっくり考えていきましょう。メモを重ねるうちに自分の思考と現実の矛盾やズレに気づき、冷静で客観的な考え方ができるようになっていきます。

コラム法は、ご自身でも手軽に取り組める認知行動療法のひとつです。強い感情に襲われた瞬間に、あるいは後からそのときを振り返って、落ち着いて自分の思考に向き合う時間をつくってみてください。

まとめ


あがり症は、専門的には社交不安障害と呼ばれる精神疾患の一種です。日常生活に支障をきたすほどの強い不安感・恐怖感や、それにともなうさまざまな身体症状にお悩みの方は、適切な治療を受けることによって状況の改善を目指せます。あがり症の治し方のひとつとして用いられる心理療法は、認知行動療法です。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、認知行動療法を主軸にしたカウンセリングをおこなっています。人から注目される状況に異常なほどの不安を感じてしまったり、あらゆるものごとをネガティブに考えてしまったりするお悩みの方は、ぜひ、お気軽にご相談にお越しください。心の負担をやわらげ、明るく前向きに日々を過ごす方法を一緒に考えていきましょう。

あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介
あがり症(社交不安障害)の治し方は?克服するための治療法をご紹介

2024/06/02

統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介

「統合失調症」は、思考・行動の乱れが起こる精神疾患です。症状が進行すると社会生活が困難になってしまうこともあるので、病気の兆候があらわれたらできる限り早く病院を受診し、早期に治療を始めることが大切です。

今回は、統合失調症とはどのような病気なのか、どのような方法で治療をおこなうのかを解説します。現在、薬物治療を受けており、カウンセリングにご興味をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。

統合失調症とは


「統合失調症」とは、現実感覚が混乱して気持ちや考え(思考)がまとまらなかったり、そのような思考から行動の乱れが引き起こされてしまったりする精神疾患です。脳の神経伝達物質の異常が原因と考えられており、症状が重くなると日々のコミュニケーションや仕事などに支障をきたして、日常生活が送れなくなってしまうこともあります。

統合失調症に悩む人は日本全国に約80万人いるとされており、誰もが発症する可能性があるものです。症状は、「陽性症状」、「陰性症状」、「認知機能障害」の3種類に大きく分けられます。

【統合失調症の症状】
陽性症状 統合失調症によって新たにあらわれた症状
→妄想、幻覚・幻聴など
陰性症状 統合失調症によって本来あったものが失われてしまう症状
→意欲の低下、感情表現の喪失など
認知機能障害 健康なときには備わっていたさまざまな認知機能が低下する症状
→記憶力、注意力、集中力、判断力などが低下

統合失調症は、発症しやすい年代や症状の傾向、経過などによって以下の3つのタイプに分けられます。

<統合失調症のタイプ>
・タイプ①:破瓜(はか)型(解体型)
・タイプ②:緊張型
・タイプ③:妄想型

それぞれ詳しくみていきましょう。

タイプ①:破瓜(はか)型(解体型)


「破瓜(はか)型統合失調症」は、退行、抑制機能の消失、支離滅裂な発言や行動をする、感情の起伏がなくなる、意欲が低下するといった陰性症状が特に強くあらわれるタイプです。思考が解体することから、近年では「解体型統合失調症」とも呼ばれます。

10代から20代前半、思春期から青年期にかけての時期に発症することが多いです。症状の進行にともなって本来存在した人格が解体されてしまい、社会復帰が困難になっていきます。

タイプ②:緊張型


「緊張型統合失調症」は、激しい興奮状態と昏睡状態・カタレプシー(奇妙な姿勢のまま身体が硬直して動けなくなる)という真逆の症状があらわれるタイプです。

10代後半から20代、特に20歳前後の青年期に発症することが多いです。突然大声を出すなどの激しい状態と急激に落ち着く状態を繰り返すもので、適切な治療を受ければ徐々に状態が安定していきます。しかし、治療を中断すると再発してしまうことが多く、再発を何度も繰り返すと破瓜型(解体型)に移行することもあります。

タイプ③:妄想型


「妄想型統合失調症」は、妄想や幻覚・幻聴といった陽性症状が特に強くあらわれ、陰性症状は目立ってあらわれないタイプです。

多くは20代後半から30代に発症します。誇大妄想や被害妄想から不安や恐怖を覚えやすくなったり、怒りっぽくなったりしますが、感情表現の喪失や意欲の低下などはあまりみられません。症状が落ち着いているときであれば、人とのコミュニケーションや仕事などの社会活動もこなせます。

3つのタイプには当てはまらないケースも


統合失調症は複数の精神疾患の集合体とも考えられており、まだ解明されていない部分が大きい病気です。統合失調症のなかには、前述した3つのタイプには当てはまらないケースも存在します。

統合失調症の治療方法


統合失調症の治療方法は、薬物療法がもっとも主流です。薬によって脳の異常を抑えながら、カウンセリングを通じて心理療法による治療を受けることも有効であるとされています。

薬物療法


統合失調症の原因は脳機能の異常と考えられているため、大多数の場合は治療薬の内服によって症状が大きく改善します。抗精神病薬を中心に、不安の症状が強い場合は抗不安薬、睡眠障害を併発している場合は睡眠薬といったように、それぞれの症状や病状にあった薬が用いられます。

統合失調症の治療は、精神科や心療内科に通って薬物療法を受けつつ、その他の治療法も適宜取り入れる形式が一般的です。

カウンセリング・認知行動療法


病院やカウンセリングルームに在籍するカウンセラーとの対話を通じて、統合失調症に有効とされる「認知行動療法」による心理治療を受けるという方法もあります。

「認知行動療法」は、人の認知・行動に働きかけて心の負担を軽減することを目指す、カウンセリングによる心理療法です。自分の思考を深く分析したり、極端な不安・恐怖を感じている物事に少しずつ触れて心身を慣らしたりすることで、物事の捉え方・受け止め方である認知のゆがみを自覚・修正していくことが目的です。

統合失調症にカウンセリングは逆効果?


統合失調症の治療方法について調べているうちに、「統合失調症にカウンセリングは逆効果」といわれているのを目にしたことがある方もいるかもしれません。

今となっては昔の話ですが、カウンセリングは統合失調症を悪化させるため不向きだとされていた時代が実際にありました。現在は、統合失調症の治療においても認知行動療法に基づいた理論・技法が適用できることが認められています。

しかし、統合失調症に限らず、精神疾患の傾向・程度によってはカウンセリングが適さないケースも存在します。統合失調症の症状は明確なタイプ分けが難しいほど多岐にわたるため、個々に適した治療方法の見極めが非常に重要です。

カウンセリングが向いていないケース


精神疾患の治療において、症状や傾向によってカウンセリングが向いていないケースがあります。以下のようなケースは、カウンセリングによる治療は向いていません。

<カウンセリングが向いていないケース>
・カウンセリングは不要、受けたくないと感じている
・カウンセラーとの信頼関係が築けない
・先に薬物療法が必要な状態である

カウンセリングによる治療では、抱えているお悩みや不満をありのままに話すことが必要です。そのためには、治療に前向きであることと、カウンセラーとの信頼関係を構築して「なんでも打ち明けられる」と安心できることが欠かせません。

カウンセリングを受けたくないと感じている状態、人間不信が強い・相性が悪いなどの理由でカウンセラーとの信頼関係が築けない状態のほか、病気による症状が重く薬物療法を優先すべき状態である方などにはカウンセリングは不向きです。

カウンセリングが向いているケース


カウンセリングによる治療の方が、効果的に働くケースもあります。以下のようなケースは、カウンセリングによる治療が向いています。

<カウンセリングが向いているケース>
・カウンセリングに意欲的である
・抱えている悩みや不満についてじっくり相談したいと思っている

カウンセリングによる治療を受ける意欲がある方は、カウンセリングが向いているといえます。自分の考えや悩みについて自己分析ができる状態である場合も、カウンセリングによる治療が効果的です。現在病院に通っている方は、カウンセリングを受けたい旨を主治医に相談したうえで治療を始めてみてください。

まとめ


統合失調症の治療には、薬物療法のほかにカウンセリングを通じた心理療法も有効です。認知行動療法の理論・技法によってストレスの原因を取り除き、心を楽にすることができます。

横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”では、統合失調症に対して有効とされる認知行動療法を主軸としたカウンセリングをおこなっています。統合失調症の治療にカウンセリングを取り入れたいとお考えの方は、是非お気軽にご相談ください。

統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介
統合失調症にはカウンセリングが有効?治療の方法をご紹介

2024/05/26

自動思考とは何?認知行動療法で改善を目指す方法を解説

「自動思考」とは、物事に対して無意識に思い浮かべる考えやイメージのことです。「特定の物事に対して過剰な不安・恐怖を感じてしまう」あるいは「あらゆる物事をネガティブに考えてしまう」という方は、自動思考に注目した治療をおこなうことで心の負担を軽減できる可能性があります。

今回は、その自動思考とは何か、どのように心に影響するのかを解説します。また、心に悪影響をおよぼしている状態の自動思考を改善する「認知行動療法」についてもご紹介していくので、参考にしてみてください。

自動思考とは


「自動思考」とは、ある出来事やもの、人などに対して瞬間的に浮かび上がる考えやイメージのことです。たとえば、目の前にりんごを置かれたときに「この赤くて丸いものは何だろう」と考えることなくすぐに「りんごだ」とわかるのは、自動思考によって無意識的に答えを導き出しているからです。

自動思考には人によって少しずつ異なる傾向や癖があります。りんごを見て「これはみかんだ」と思うことはあまりないですが、「おいしそう」と思う人とそうでない人はどちらも多くいるものです。

自動思考は人の「認知」に大きな影響をおよぼしています。認知とは、物事の捉え方・受け止め方のことをいいます。認知にも人それぞれの個性があり、自動思考の傾向や癖がその違いをつくっているのです。

自動思考のもとになる「スキーマ」


「スキーマ」とは、人の思考の根本に存在し、自動思考の傾向や癖のもとになっている「思考の枠組み」のことです。スキーマは個人の人生経験の積み重ねによって形成されるもので、特に幼少期からの生育環境の影響を大きく受けています。

人が持つスキーマは無数にありますが、人間関係にまつわるものに関しては「自分に対するスキーマ」と「他人に対するスキーマ」と下記のように大きく分けることができます。

<自分に対するスキーマの例>
・自分は仕事ができない人間だ
・自分の存在は周囲に迷惑をかけてしまう
・自分は皆から嫌われる

<他人に対するスキーマの例>
・他人は仕事ができない自分を見下している
・他人は自分のことを迷惑がっている
・他人は皆自分のことを嫌う

人が物事について考えるときは、スキーマを無意識のうちに利用して自動思考を導き出しています。ネガティブなスキーマを多く持っている人は、あらゆる物事に対してネガティブな考えやイメージが浮かんでしまうのです。

もちろん、上記とは反対にポジティブなスキーマを持っている人もいます。特定の物事に対してだけでなく、あらゆる物事を極端にネガティブに考えてしまう方は、思考の根本にあるスキーマの偏りを修正することが必要です。

自動思考のズレが心の負担になる例


自動思考の傾向は人それぞれの個性ともいえ、これが正しいという決まった形はありません。しかし、自動思考の癖が強く、目の前にある事実からズレた状態であると、日常生活のなかでストレスを感じやすく心に負担がかかってしまいます。

たとえば、街中で偶然、向こうから歩いてくる知り合いの姿を見つけたとしましょう。自分から挨拶をしたのに、相手は返事をせず通り過ぎて行ってしまったらどのように感じるでしょうか?

この「挨拶をしたのに返事がなかった」という事実から導き出される考えは「突然のことだし気がつかなかったのかな」、「こちらの声が届かなかったんだろう」というようなものが通常です。しかし、「挨拶を無視するなんて失礼な人だ」、「私が嫌われているから気づかないふりをされたんだ」などと事実からネガティブな方向に飛躍した考えが浮かんでしまう場合は、自動思考が現実とズレを起こしているといえます。

自動思考がネガティブな方向に偏っていると、あらゆる物事に対してマイナスなイメージが浮かび、ストレスを感じやすくなってしまいます。些細なこともなにかと気になってしまう、傷つきやすいといった性質を「私はこういう性格だから仕方ない」と思っている方も多いかもしれません。このような思考の傾向に関するお悩みは、認知行動療法をはじめとした心理療法によって解消できるのです。

自動思考のズレを修正する「認知行動療法」


「認知行動療法」とは、自らの認知と行動に働きかけ、心の負担の原因となっている認知のゆがみやズレを修正するための心理療法です。もともとは異なる分野とされていた「認知療法」と「行動療法」があわさったもので、それぞれ複数の手法があります。

認知行動療法では、認知のゆがみを修正する手段として自分の自動思考に向き合います。どのようなこと・ものに対して、どのような気持ちになったのか、なぜそのように考えたのか、違う考え方はできないかを深く掘り下げることで、自分の考えと現実の矛盾やズレに気づき、思考の幅を広げていくというものです。

ここでは認知行動療法の代表的な手法をご紹介します。ご自身だけで取り組むことも可能なので、ネガティブな自動思考を改善したいと考えている方はぜひ注目してみてください。

コラム法(認知再構成法)


コラム法(認知再構成法)は、カウンセラーと一緒に、あるいは一人でおこなう認知療法の一種です。形式によって3コラム法、5コラム法、7コラム法などに分かれます。

コラム法では、日常生活のなかで不安や恐怖、怒り、悲しみなどの感情が生まれたときに、あるいはその状況を後から振り返って、以下のような項目に沿って自分の思考をメモに書き出します。

〈コラム法(認知再構成法)の種類・項目〉
書き出す項目
3コラム法 ・物事(どのような事実に対して)
・感情(どう思ったのか)
・考え(なぜそう捉えたのか)
5コラム法 3コラム法の項目に加えて
・他の考え(別の捉え方はできないか)
・他の考えに対する感情(捉え方が変わると感情はどう変化するか)
7コラム法 5コラム法の項目に加えて
・根拠(最初の考えが生まれた理由)
・反証(他の考えにつなげる別の可能性)

まずは3コラム法からはじめましょう。物事に対する感情をありのままに記録し、感情が落ち着いてきたら自分の考えに注目します。この段階では、思考のメモを積み重ねて、自分の思考パターンを知ることが大切です。

次に、5コラム法または7コラム法に挑戦します。項目が少ない方が書きやすいと感じる方は5コラム法を、一歩ずつじっくりと考えを深めていきたい方は7コラム法を選んでください。根拠・反証から物事に対する別の捉え方を探し、それによって瞬間的な感情をどう変化させられるかを考えます。

思考の整理・分析を重ねて自分の思考と現実のズレを自覚し、「こう捉えればいいんだ」という自分なりの答えをたくさん見つけることが大切です。そうすることで、自動思考のズレ・認知のゆがみが次第に修正され、ストレスが減って心の負担が軽くなっていきます。

まとめ


自動思考と現実のズレは認知のゆがみを引き起こし、日常生活において心に大きな負担がかかってしまう原因となります。余計なストレスを取り除いて心を楽にするためには、認知行動療法などの心理療法によって冷静で客観的な思考を取り戻すことが必要です。

横浜市港南区にあるカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”で行っているカウンセリングは、認知行動療法を主軸としています。信頼できるカウンセラーと共に自分の思考と向き合い、ひとつずつ時間をかけ整理・分析する経験を重ねていきます。自分の「なりたい姿」を目指し、心を楽にする方法を一緒に考えてみませんか。

自動思考とは何?認知行動療法で改善を目指す方法を解説
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