2021/11/07
大人になると友達ができにくい理由
今回は友達と呼べる関係とは、どんな人間関係なのか考えてみたいと思います。
よく年をとればとるほど、友達と呼べる人が出来なくなるし、元いた友達も減っていくという話をききます。
元いた友達、つまり、学生時代の友達や若い頃の友達という意味かと思いますが、昔の友達が減るのは、それぞれの生活環境や生活レベルが違ってしまったからいつの間にか疎遠になったというのが原因なのではないでしょうか。
物理的に離れた場所に住み、別々の仕事や人間関係などで、置かれた環境に共通点がなくなると友達同士でいられなくなってしまうようです。
もちろん同窓会やクラス会などで再会し盛り上がるというケースもありますが、以前のような友達関係とは違ってしまうのもまたよく聞く話です。
では、年と共に友達と呼べる人ができにくくなるのはなぜでしょう。
それは社会人になってからは利害関係なしに人と人が交流することが減ってしまうからではないでしょうか。
仕事の人間関係、子どもの学校関係、パートナーを通じての知り合いなど、どれも学生時代や若い頃にできた友達とは少し違いますよね。
一方、共通の趣味を通して知り合った仲間などは、利害関係がない場合が多いので、友達関係と呼ぶようなおつきあいに発展しやすいかもしれません。
どちらか一方がお金を支払う関係、例えば、美容師さんと客、整体師さんと客、お医者さんと患者、先生と生徒、お店の人と客など、その関係に金銭が介在してしまうと、どんなに親しくても途端に友達関係とは言い難い感じになってしまいます。
そう考えると、お金を支払う人と受け取る人という立場の違う関係に友情はありえるかという問題になって、大人って難しいなと思えてきます。
学生時代、仲のよかった友達同士がそうでもなくなるのは、生活や環境に変化によるところが大きいわけですから、大人になって、尚、そうしたものを超越して、気心の知れた友達と呼べる人がいるなら、それは大切にしないといけませんね。
2021/11/03
『べき思考』の呪縛
カウンセリングルームでよくお目にかかるのが『べき思考』の持ち主です。
『べき思考』とは、ものごとを決めたり、選んだりする時に「それは~すべき」という価値基準に沿って、ご自分の強固な考えに基づき突き進む考え方のことを言います。
『べき思考』は信念にも似たその人の確かに信じている方法や考え方なので、自分自身に向けて発動し行動している分には、自信をもって前に進むことが出来ます。
しかし、その『べき思考』が子どもやパートナーや他人に向かって発動されると、一気に高圧的な指示や命令といった色を帯び、相手に息苦しい思いをさせることになってしまいます。
『べき思考』の持ち主は、その考えを正論だと信じているので、自分だけではなく相手もそれに従って当然だという思いで押し付けてきます。でも、それとは違う考えを持っている相手にとっては、とても従えないと感じたり、自分は違う考え方だと言いたいのですから、人間関係がギクシャクすることもあるでしょう。
『べき思考』を発動されて被害を被るのは、子どもだったり、部下だったり、妻だったりと、立場が弱い場合が多いと思いますが、結果的には強権をふるう親や上司、夫は、本人にその意識が乏しいせいで、相手にとっては困った存在になってしまいます。
正義感が強くて、曲がったことが嫌い、社会の規範はきっちり守る、そんなあなたは『べき思考』の持ち主ではありませんか?
「それは~すべき」とすぐ結論づけてしまう前に、「本当にそうかな」とちょっと立ち止まって考えるようにしてみませんか。
当カウンセリングルームで行っている”認知行動療法”とは、そんないつもの考え方のクセや歪みに気づいて、少しずつ変化させ、人間関係や親子関係を改善する心理療法です。
2021/10/31
相手を変えることはできない
”キミィ・メンタル・サプリ”は横浜市港南区にカウンセリングルームを開設して11年になります。
その間、カウンセリングにいらっしゃるクライアントさんの感情で最も多いのが「イライラ」という感情です。
何に対してイライラするのか、誰に対してイライラするのか、それは人それぞれです。
共通点は自分の思い通りに相手が動いてくれない、もしくは、自分の思い通りにことが運ばないことにあるようです。
しかし、相手からあなたを観れば、あなたの方こそ自分の思い通りに動いてくれないということになり、結局、堂々巡りになっているケースがほとんどです。
残念なことに、ひとつ間違いなく言えることは「相手を変えることはできない」ということ。
このことをわかっていらっしゃらない方の何と多いことか。
悪いのは私ではない、自分の意見は正論なのに、なぜ、自分の方が変わらなければならないのか。
そうおっしゃる気持ちはよくわかります。けれど、そうやって相手を非難して、相手が変わることだけ望んでいても問題は解決しないのです。
結局、変わることが出来るのは、変わろうと思った人だけなのです。ご自分が少し変わることが出来ると、相手の反応が変わってくることもあり得ますし、相手が変わらなくても、ご自分のものの見方が変われば、世界が違って見えたりします。
人間関係は、それが夫婦や恋人であれ、親子であれ、会社の人間関係であれ、それぞれ別個の考え方や感じ方をもった人間同士のつながりですから、そこには上手なつながり方が必要になってきます。
「このやり方ではこの相手とはうまくつながれないな」と思ったら、ご自分の方が少し変わることでうまくいくかもしれません。
相手を変えようと不毛な努力と多大なエネルギーを消費せず、ご自分を少しだけ変えてみてはいかがでしょうか。
2021/10/28
人と比べる癖はストレスになる
こんにちは。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
実はカウンセリングルームにお見えになるクライアントさんには、時々、共通点があると感じています。
お悩みはご自分自身についてのこともありますし、夫や子ども、恋人との関係など、相手も内容も様々ですが、誰かと比べて自己嫌悪に陥るというパターンがとても多いように思うのです。
あなたはふだん生活している中で「人と自分を比べる」「他人の子と自分の子を比べる」など、誰かと自分、もしくは家族と誰かを比べて落ち込むことはありませんか。
または、若い頃の自分と現在の自分を比べて悲しくなってしまうなんてこともあるかもしれませんね。
それは今の自分や今の我が子など、「今」あることを受け入れられないところに原因があると考えられます。
「今」の状態をそのまま認めることは難しいことですか?一生懸命頑張っている自分、その子なりに成長している我が子など、それぞれの生き方を素直に受け入れ認めることが出来たら素敵ですね。
人は誰かに憧れたり、目標にしたりして、努力できるという一面もあり、それは向上心と共に生活にハリをもたらしてくれます。ただし、それも行き過ぎてしまったり、間違った方向に向かうと、単に落ち込むにとどまらず、嫉妬したり怒りをぶつけたりと平常心ではいられなくなってしまいます。
自分は自分だし、我が子は我が子らしくあればそれでいいと頭では理解していても、つい、人と比べてしまって、それが悪い結果を招くのであれば、そこはちょっと意識して「人と比べることを辞める」ことにしませんか。
日本人はとかく世間の目や同じような環境にいる人との比較の上で、安心したり満足したりする傾向があると思いますが、「みんな違ってみんないい」という詩人・金子みすゞの境地で暮らせるようになると、心穏やかな時間が過ごせるのではないでしょうか。
2021/10/24
気遣いは日本人の美徳だけど…
今日は人間関係におけるストレスはどこからくるか考えてみましょう。
円滑な人間関係だと思っている相手と、うまくいっていないと思っている相手では何が違うのでしょうか。
日本には「気を遣う相手・気を遣わない相手」とか「気疲れする人」「空気が読めない奴」など、気とか空気のように実態の見えないものに対して神経をとがらせたり、ストレスを感じる文化があります。
人とのコミュニケーションも、すべて表に出して自分の意見を表明したり、意見の違う相手と口論したり擦り合わせたりするのは、少し苦手が人が多いように感じます。その分、言葉以外の部分で共感したり、察したり、理解したりするコミュニケーションを好む傾向があります。
よく言えば、日本人は思いやりがあって、優しくて、相手の身になってものごとを考えることが出来るのですから、それは本当に日本人のいいところだと思います。
しかし、それはどんな相手とも同じようにうまく出来るわけではありませんし、ストレスなく通じ合える人とそうでない人がいるのが現実です。
カウンセリングでよくお聴きするのは、自分と意思疎通がうまく図れない相手の態度や言葉に傷ついたり、ストレスを感じるというお悩みです。
それは自分と違う意見をもつ相手、価値観の違う相手そのものにストレスを感じるというより、コミュニケーション方法がすれ違ったり、うまくかみ合わないことにイライラしているのではないでしょうか。
「あ・うんの呼吸」という日本語は美しいとは思いますが、誰とでもこの域に達しているわけではないので、やはり、言葉に出して相手にご自分の思いや考えを伝えることが必要なのかもしれませんね。