2023/02/21
認知行動療法からの卒業とは
おはようございます。三寒四温の季節、今日は北風が強そうですね。
横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
本日はよくある質問「認知行動療法はどのぐらい時間がかかるのか」についてお答えします。
当カウンセリングルームは認知行動療法を主軸にカウンセリングを行っていますので、初回のセッションではまずよくクライエントさんのお話を伺った後、セッションの最後の方で認知行動療法についての説明をいたします。
その時、「認知行動療法って何回ぐらいかかるんですか?」といった質問を受けることがあります。
「人によって回数も時間も様々で、5~6回の人もいれば、12~13回の人もいれば、もっと多い方もいます」「中には途中で生育歴にかかわる問題だと判断してスキーマ療法と並行して取り組まれる方もいて、そうなると年単位になりますね」などとお答えすると「そんなにかかるんですか」とびっくりなさる方も少なからずいらっしゃいます。
しかし、認知行動療法に終わりがないわけではありません。
認知行動療法というのは人それぞれの少しクセっぽくなってしまった考え方や感じ方をあぶり出して、別の見方や捉え方に変化させることで、今の生きづらさを軽減したり、人間関係を好転させたりすることを目標にしています。
ですから、自分ひとりではどうしてもうまくいかず悩んでいたことが、うまくコントロールできたり解決できるようになったと感じることができれば、そこで一度認知行動療法のセッションを卒業することができるのです。
セッションに通うことを辞めても、また、しばらくして何かトラブルが起きたり、自分ではうまくコントロールできないと思ったときは、いつでも連絡をしてセッションを再開すればいいのです。
傾聴によるカウンセリングはプロに話を聴いてもらうことで、心がスッキリするとか共感してもらって安堵感を得るといった効果があります。
しかし、認知行動療法はもう一歩踏み込んで今の自分の何かを変えようとするものなので、1回のセッションで達成できるわけではありません。数回、通って、ご自分と向き合うことで気づきを得て、少し今までとは違うアプローチを試みる時間が必要です。
そこで手応えを感じ、自分ひとりでもやっていけると思えれば、それが「新しい自分のリスタート」なのです。
カウンセリングを始める前から、終わりのことを心配しても仕方ありません。
まずは辛く悩ましい現在からの脱却を目指して、一歩踏み出す勇気を出してみませんか。
2023/02/14
孤独という名の魔物
おはようございます。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
今日はバレンタインデーですが、あなたはどなたかにチョコを差し上げるご予定はありますか。
さて、本日は「孤独」についてのお話です。
人はひとりで生まれ、ひとりで死んでいく存在ですが、生きている途中でその当たり前の「ひとり」ということが「孤独」という名で差し迫ってくることがあると思います。
人は人生の目的がある時ややらなければならないことがある時は孤独を感じいている余裕すらありません。しかし、人生に挫折したり、大切な人やものを失ったり、老いが迫ってきたりした時など孤独にさいなまれてしまいます。
最近、私の友人で、仕事(作家業)も順調、社会的にも認められていると思っていた人が、久しぶりに会ったらとても暗い顔をして「寂しい」を連発するので、とても驚き心配になって話を聴いたことがあります。聞けば、ひとり娘さんが結婚して子供が生まれたのに、親である友人を全く寄せ付けない冷たい態度をとっていると言うのです。彼女の夫とは現在、別々の家に住んでいてお互い自由に暮らしていて、食事は彼女が作るもののそれぞれの家で食べているということで、とても孤独で寂しい思いをしているようでした。年齢的にも徐々に老いを感じていて制作意欲も湧かずにただ時間だけが過ぎていくことも多いと嘆いています。
これは友人の話ではありますが、人がどういう時に孤独を感じ、人生に虚無的になるのか、その理由がいくつも含まれているなと感じました。
あなたは今、孤独にさいなまれていませんか?
最近は結婚しない人も増え、また、離婚する人も多いと聞いています。
「おひとり様」などという言い方で、ひとりを上手にエンジョイする機会や方法も増え、ひとり暮らしの方も大勢います。
けれど、「孤独」とは心の在り方も問題なので、「おひとり様」が充実したり便利になることとは別の問題です。
ご自身の心の内に、何か自分らしさを見出せない喪失感や焦燥感、期待を裏切られたような出来事が引き起こすがっかりした気持ちなどが、「孤独」を寂しくて辛いものとして人を暗い穴に引っ張り込んでしまうのです。
元々ある人はみなひとりであるという存在なのに、「孤独である」というマイナスの感情に陥らせているのであれば、それは原因を解明して、前に向けるよう考えてみる必要があるでしょう。
ひとりだけで考えていたのではどうしてもどんどんマイナス方向に向かって、ネガティブなことしか発想できないものです。
認知行動療法は現在のあなたの認知のありようを浮かび上がらせて、少し修正するお手伝いをします。
孤独のトンネルにうずくまっていないで、孤独を栄養にできる人生を手に入れてください。
2023/02/08
毒親を受け継ぐな
こんばんは。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
本日は最近よく耳にする「毒親」についてのお話です。
世の中にご自分が毒親に育てられたと思っている方は思いのほかたくさんいらっしゃいます。
「毒親」とは近年できた言葉なので、毒親の定義があるわけではありません。
しかし、いわゆる「虐待」や「ネグレクト」(育児放棄)のように昔から言われている親として失格と思われる親以外にも「自分の思い通りになるよう育てる」「兄弟姉妹を常に比較してひいきする」「親がレールを敷いてそれ以外の道は歩ませない」など、人生においての選択権や決定権をはく奪されたり、意見を尊重してもらえなかった幼少期や青年期を過ごした人も「毒親」に育てられたと感じているようです。
そんな抑圧的な幼少期や青年期を送った人が、いざ、自分が親になって子育てをする段になった時、とてもよく見受けられる特徴があります。
それは自分が親からされて嫌だったことを、自分の子どもにしてしまっているという事実です。
子育てはしてみて初めて分かるのですが、子どもというのは全く親の意に添わないものです。
子どもにはひとりひとり個性があり、生まれながらにして持っている性格や特性があるので、親はその意思をくみ取り、ある程度欲求を叶え、無条件の愛情を注いでこそ豊かな人格の子どもが育つのですが、自分が抑圧的に育った人にはそれができないケースがとても多いと感じます。
知らず知らずのうちに我が子をコントロールし、自分のものかのように勘違いし、意のままに操ろうとしてしまいます。そして、意のままにならない現実に対しては怒りで押さえつけようとする場合もあります。
いつのまにか自分の親のように自分はなるまいと思っていたはずが、あんなに憎んでいた自分の親そっくりになっているという方に今までどれだけお目にかかったことでしょう。
スキーマとい呼ばれるいわゆる価値観のようなものは、親から摺り込まれたり受け継ぐことが多いのですが、嫌悪していたはずがその価値観が自分には染みついてしまっているのです。
それを直すにはそのことに気づくことがとても大切です。気づいた人だけが手放すことができ、別のスキーマ(価値観)を手に入れることができるのです。
ハタと心当たりのある方がいらしたら、どうか自分史を遡り、今のご自分がどんな状態か観察してみてください。
当カウンセリングルームでは「スキーマ療法」という成育歴まで遡り、悪しきスキーマを手放し書き換えるという心理療法を行っています。
ご自分が毒親になりかかっているのではと思い当たる方は、是非一度、ご相談にいらっしゃいませんか。
2023/02/02
人に話す意味
こんにちは。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
毎日、寒いですがいかがお過ごしですか。
本日は誰かに自分の考えていることを話して聴いてもらうことにはどんな意味があるのかということをお話しいたします。
何か考えていることがある、悩んでいることがある時、あなたはひとりで答えを出そうとしていませんか。
問題は自分で考えて自分で決めて行動すべきことなんだからと、ひとりで抱え込む方は大勢いらっしゃるのですが、時にはそれを誰か人に話した方がいいというメリットについてお話ししましょう。
人は怒りを感じていること、失敗したり悔やんでいることについて考える時、どうしてもネガティブな思考に囚われやすい傾向にあります。
考えれば考えるほどマイナスのスパイラルに陥って光が見いだせない時、まず、ひとりで考えたり答えを出そうとしていることを辞めて、外に出す(外在化)ことを考えてみてください。
外に出すというのは、紙に書く、日記に書く、人に話すなどを差します。
そうすると自分の考えが表に出るので、そのことについて自分がどんな言葉で表現し、悩ましいと思っている点や問題点などが表面化して、怒りや悲しみなどストレスポイントがどこにあるのかが分かってきます。
それを客観的に観察する目をもつことで、自分の今の状態を知ることができる、それがものに書いたり人に話したりする最大のメリットです。
ものに書いた場合、それを検証するのはご自分一人になりますが、人に話した場合はその人が受け止めてくれ伝え返してくれたり、共感してくれたり、時にはアドバイスをくれたりすることで、ひとりで解決しようとするより、より早く問題解決に向かうことができるかもしれません。
そのためには誰に話すかが大切になってきますね。
よく「あなたはひとりじゃない」とか「ひとりで悩まずどうぞ話してみて」などという誘い文句を目にしますが、「人に話す」ということはその人に聴いてもらう効能より前に、自分の考えや悩みを外に開放し客観的に観られることにメリットがあると思います。
どうぞ何かひとりで悶々とするような問題がある、自分ではうまく答えが導き出せないというような時、カウンセラーは話を聴くプロですから、この人になら話を聴いてほしいと思えるようなカウンセラーを探して、安心安全な場所で全部、吐露することをオススメいたします。
必要な時、人に助けを求めるのは何も恥ずかしいことではありませんよ。
2023/01/25
以心伝心はするか
こんばんは。横浜市港南区のカウンセリングルーム”キミィ・メンタル・サプリ”の萩原です。
本日は「旧知の中なら以心伝心はするのか」というテーマです。
カウンセリングではクライエントさんに実際にあったエピソードのお話を伺いますが、その時には相手とのやりとり、つまり、ご自分が何を感じ何を考えて相手にはどう伝えたのかといったことを具体的に話していただきます。
その際、私がよく感じることは、ご自分の考えや感じたことをそのまま言葉にして相手に伝えることのできる人とできない人がいらっしゃるということです。
何でも自分が思ったことを相手に言葉にして伝えればいいというものでもありませんが、世の中には「そんなこと言わなくても分かっているはず」とか「夫婦なんだからそのぐらい分かって当然だ」「いちいち言うのがめんどくさい」などと思って言わないでいると、案外、相手は全く分かっていないし、あなたの気持ちを理解していないことがあるということです。
特に長年一緒に生活している夫婦や親子だと、相手とのあ・うんの呼吸で何となく生活してきてしまい、マメなコミュニケーションをとらずにいると、だんだん価値観がズレたり、通じていると思ったことが全く通じていなくて愕然とするというようなことが起こります。
昔の日本には「以心伝心」「あ・うんの呼吸」「一を聞いて十を知る」など、気心の知れた相手にはいちいち言葉に出して伝えなくても分かり合えるものという文化があり、それを良しとする風潮がありました。
しかし、現代社会に生きる現代人にそうした能力は欠落しているようで、近年、クライエントさんのお話を伺っていると、相手にその考えや思いは伝わっていないのではと思うエピソードを聞くことが多くなりました。
いわゆる「言わなきゃわかんないよ」「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」という考え方で、日本人の美徳であった『察する力』は低下していると言わざるを得ません。
それはお互い様ですが、その意思の疎通やすれ違いを解消するには、やはりもっと言葉を尽くしてコミュニケーションを密に取るしか方法はありません。
かつての日本人がもっていた能力がなぜ失われたかについては深い考察が必要かもしれませんが、まずは特に身近な相手こそ、もっとマメに言葉を交わし、思いを伝えないと伝わらないということを頭の片隅に置いておいてください。
コロナ禍でますますコミュニケーション不全の問題は深刻化したと思われます。
お心当たりがある方はひとりで悩まず、ご自分の考えや気持ちをまず身近な誰かに話してみることをオススメします。